着物の変色を安く解決できる
格安柄足しのデメリット

伝統技術厳守!→高額 or
格安柄足しで安くキレイに?

しみ消しは格安柄足しでお安く

クリーニング料金付き・着物の茶色の変色を割高なしみ抜きではなく安価なぼかし柄の柄足しで処置したビフォーアフター画像例 1ヵ所1,800~3,600円だった時の画像
着物の茶色の変色をしみ抜きより安価に処置できる『金彩ぼかし柄』の柄足しビフォー→アフター例(右のアフター画像の『柄の左側』にくすんだように見えるのは光による陰影です。撮影技術に問題が・・・)

格安柄足しのメリット

変色は確実に消せるものの・・・

魅力的な料金で着物の変色トラブルを安い費用で隠してしまう格安柄足しにも一般的な柄足し同様のデメリットがあります。

大きなものは以下の3つです。

  1. デザインが変わる
  2. 柄は浮かび上がる
  3. 少し厚く、固くなる
  4. アチコチ処置問題
  5. シンプルすぎる柄
  6. 裏地への染料とび
  7. 江戸小紋(さめ/行儀ぎょうぎ/通し)/色無地には不可

1.デザインは変わる

格安柄足しを含む柄足し工法は着物の汚れを隠す処置で、なにかしらの柄を着物に加えます。これは厳密に言えばその着物をデザインしたデザイナーや作家のオリジナリティを損なう事になります。

前述の通りそもそもそのオリジナルデザインを何人が知っているのか?と考えれば大きな問題にはなり得ません。

ただし著名な作家の大人気図柄の場合などは柄を細かく記憶する消費者も多いはずで、そういった特殊性の高い着物には不向きとも言えます。

2.柄は浮かび上がる

格安柄足しで用いる染料は顔料で、ネイルのマニキュアと同じカテゴリーです。顔料は水性絵の具と違い不透明であり、下地の変色や汚れを効果的に覆い隠せおおいかくます。

化粧品で例えるとコンシーラーで、正にシミを隠すための染料です。

顔料は見え方に特徴があります。柄足しした柄をアチコチの角度から念入りに見れば浮かび上がって見えます。
「言われなければ気づかなかった」「そう言われて見たけどわからなかった」、または「気にならない」との声が圧倒的多数ですが、特徴として浮かび上がって見える事をご承知の上で注文いただくのが筋だと考えています。

着物の柄でお花や鶴、鳥の柄が白い場合、白い顔料でよく描かれています。

着物に不慣れな方でも柄のある部分の生地を斜めから見れば「浮かび上がっている」かのように見える、という意味が理解できると思います。

変色したまま汚れているように見えるのに比べると小さな事と評しても良いのですが、変色汚れを隠すため描いた柄は浮かび上がって見える事をご理解ください。

特に前身頃の帯の下~すそにかけての部分に柄足しするとお召しの際、上から見下ろす形で目に入ります。第三者も近くにいれば上から見下ろす形で斜めに見ます。

こうした時に「あぁ・・・柄足しするんじゃなかった」と感じても後の祭りです。

なかなかお伝えしにくい情報ではあるものの、小紋や訪問着・留袖の白や白っぽい柄は記事に対して斜めから見れば浮かび上がって見えるものが多数あります。

変色処理をご検討の方は「柄が浮かび上がって見える」のがどのようなものか、一度確認してみるのが当店がオススメする変色処理の第一歩の手順です。ぜひご活用ください。

3. 少し厚く固くなる

柄足しに用いる顔料という染料はマニキュアタイプの染料です。顔料で新たに柄を足した部分は他の部分と比べ、厚みと硬さが少々出ます。その他の部分は厚みも硬さもありません。

イメージしにくいかもしれません。着物の白い柄は顔料で柄を描いているか元の反物の地色が白なのを利用して柄にしているかの2つに分かれます。

前者の白い顔料で柄を描いている(主に鳥・鳳凰・鶴・花びらなど)柄のある着物のその柄部分を触ると柄が描かれていない部分に比べ少し厚みを感じたり固くなっているのがわかりやすいと思います。

顔料は基本的に不透明なので変色の上に柄を描けば変色は隠せます。ただし少し厚塗りしなければ変色を完全に隠しきれない場合があります。この際、普通の柄部分よりももう少し厚みを持ち固くなります。

着用時に響くような事はほぼありません。その点ご安心下さい。

4.アチコチ処置問題

「変色してる部分だけでよかったのに」「どうして変色していない部分にも柄を入れるの?」

格安柄足しは変色している部分以外にも同じような柄を描く処置が必須だと考えています。

これは着物全体の柄のバランスを考えたり、前章の『柄が浮かび上がって見える現象』で感じる違和感を少しでも抑えるための考え方です。

訪問着や小紋、付下げ・黒留袖・色留袖・紅型・つむぎなど、あらゆる柄のある着物全般に言える事に『1ヵ所だけにしかない柄』はあまり多くありません。

着物の柄付けルールをベースに新たに変色汚れを隠すための柄足しをデザイン的に考えだすと、1ヵ所だけへの処置はあまり・・・というか「ほとんどナシ」との結論に至る事がほとんどです。

この理由はシンプルです。例えば訪問着なら前/後ろ身頃・背中・両そで部をチェックすると柄の大小や色違いはあれど、その着物の中でその1ヵ所しか無い柄がほぼ無いためです。

お客さまの持ち物である着物へ柄を加えるという加工をする立場からは、柄足し処置後実際にお召しになった時に『加えた柄が原因で恥ずかしい思いをされては困る』との考えがどうしても頭から離れません。

そのため主に柄がある部分には同じような柄を加え『なければ』となるのです。

ですが格安柄足しでも処置する数が増えれば費用がどんどん増してしまいます。お客さまはもっとも安価に変色を解決したかったのに思ったよりも千円札がうばわれる・・・。

ご安心下さい。もちろん対応策はあります。

「ひとまず気になる部分の変色が見えなくなればそれで良し。しかも安くないと困る!」という場合、お客さまより『強い希望』をいただければもちろんご要望に従います。

特に費用を抑えたい際などは正直に希望額をお知らせいただければ対応がしやすいので、その点ご協力いただければ幸いです。

また柄のちょうど良い部分に変色があるなど運が良いケースもあります。このような際はその部分にだけ柄足しするだけで全体のバランスをくずさず、しかもとことんお安くご利用いただけます。

「ここからここまでは帯で隠れる部分だし、この脇部分はほとんど見えないし、右側の見頃は着たらほぼ見えないから、処置不要」

このようなご希望をかなえるには具体的に目印をつけてお送りいただければそのように処置する事もできます。

当店をご利用いただく際はご案内の通り競合他社様に比べ少々手間ひまがかかる事がございます。

一般的な着物専門クリーニング店なら「ははっ!おまかせください!」と全ておまかせできるはずなのに・・・。

こちらにつきましては「できるだけ費用を抑えるための修行だ」と、ある意味あきらめていただきしかない、と心苦しくも考えているところです。(^^;

お手間ではございますがお力添えいただければその結果、「ひようにこだわる」との目的が達成する道筋が見えてくるはずです。

なにとぞご了承くださいますよう平にお願いいたします。

5. シンプルすぎる柄

「シンプルな柄で何が問題なの?」と感じるかもしれません。

当店の格安柄足しの考え方はまず費用面から検討します。いかに安く変色を隠せるかと。

そのため着物の常識・ルールにとらわれない柄を加える事もあります。例えば●や▶、■などを想定して下さい。一般的な着物の柄の中には無くもありません。

ただし完成されたデザインの柄に新たに加える柄が上記のようなシンプルなものだと違和感を感じる可能性は否定できません。

これらのような超シンプルな柄を描く、というのはお見積りの中で「とことん安くして!○○円までしか支払えない」など、とにかく少しでも安く!との強い依頼が無ければ実はあまり提供していません。

しかしあまりにも変色の数が多く、「ぼかし柄は仕上がりが予想できないからダメ」と相談された際にはまれに超シンプルな柄を用い、ご要望に応えます。

このような際は事後お召しになって街に出た際、着物デザインや柄付けに詳しいウルサ型の方にじっくり着物を見られたた時に「あら?変わった柄ね、オホホ」と言われて「うぬぬっ!」と頭に血が登ったり恥じらいを感じてしまう可能性があります。(可能性は相当低いと思いますが念の為)

6. 裏地への染料とび

少し説明が必要です。

着物に新たに柄を描く時、反物の形になっていたり一旦ほどいてバラバラになっていたりしていればそのまま柄を安全に描けます。

しかしすでに着物の形に縫い上がっている着物で、裏地のある2枚仕立ての着物には本来注意すべき点があります。

それは柄足し時は部分的にほどいて柄を描く表地1枚きりにして処置し、処置後にほどいた部分を縫い直すという処置が必要だという点です。

この処置は普通は必要です。ですが当店では基本的にはほどく→縫い直す処置の採用を見合わせています。もちろん費用を少しでも安く抑える事が理由です。

どこもほどかず裏地が普通に縫い合わさった状態で柄足しする事に問題は無いのでしょうか? 残念ですが問題はあります。それが裏地への染料とびです。

正しくは顔料飛びです。

表地に柄を描いている時に一定の確率で裏地にも顔料が移ったり、ぼかし柄などエアブラシを用いて処置する際に起こる現象です。

もし裏地に顔料が飛んでしまった場合どうするか?もちろん除去処置はできるだけいたします。ただし裏地の状態によってはキレイに除去しきれない事もあります。

皆様におかれましてはこの点ご留意いただきご希望の節はぜひ「裏地をほどいてでも顔料とびを起こさないで」と、一言ご要望をお知らせ下さい。

1ヵ所10cmくらいのほどき+縫直しで1,500円程度で、増えればそれだけ割増となります。

詳しくはお見積りご相談時にお申し付け下さい。

着物の裏地への染み抜きや変色処置に対する当店の見解は『正絹着物・裏地の汚れ・黄ばみは』をご参照ください。

7.江戸小紋/色無地は不可

いわゆる柄の無いタイプの着物である色無地や遠目では無地っぽく見える江戸小紋の一部には、残念ながら格安柄足しはできない、とお考え下さい。他にも着物によっては格安柄足し・柄足し以外の選択をオススメする事があります。

江戸小紋のうちさめ行儀ぎょうぎ通しとおしなどの小さな柄付けが着物全体に連続している着物や柄がない色無地などは、格安柄足し・柄足しとは相性あいしょうがよくありません。

格安柄足し・柄足しを処置して変色を隠せても次の章でとりあげる『柄が浮かび上がる問題』の影響がモロに出てしまいます。

せっかくお金を投じて変色を隠したのに隠すために塗り込んだ柄にすごく違和感があり、「あ~、こんな事なら格安柄足し・柄足しするんじゃなかった!!」と後悔する確率が高い、と考えられるのです。

これら一部の江戸小紋や色無地の変色解決は「しみ抜き+漂白処置」の変色処理が最後の一手となります。

黄色や茶色の変色をキレイにする処理料金は格安柄足しに比べて割高というわかりやすいマイナス面があります。

ただし当店においては相対的にお安く提供していますので、ぜひ他店との相見積もりで比較検討していただければと思います。

きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございました。
m(_ _)m