着物の丸洗い(京洗い/○洗い)とは

着物の丸洗いはドライクリーニング

水を一切使わないCL 工法

布団の丸洗いは水で洗うのが常識となって久しいです。ところで着物の丸洗いは水で洗うのでしょうか? ”ちなみに情報”ですが着物専門クリーニング店で用いられる「京洗い」や「(お店の名前)洗い」はやはり着物の丸洗い同様、です。「○洗いにかける情熱」や「オーナーの思い入れ」や「国家資格を持つベテラン技術者だけが処置する」などの違いはあれど、基本的に同じです。
 (1) ドライクリーニングで落ちないけれどもお召しになると汚れができやすい「えり」や「そで口内側」や「すそ周辺」などをドライ溶剤と同じような揮発性溶剤で手作業で汚れ落としした後、(2) ドライクリーニングする、という工法です。
 ドライ溶剤・ドライソープに強力な洗浄力を持たせると諸々の危険があるため、着物専門にクリーニングするお店ではあえて非常に洗浄力の弱いセッティングでドライクリーニングします。つまり、洗浄力だけに注目すれば着物の丸洗いルール(前述の(1)(2))で処置する限り、プロが見ても差がわからない程度、と、当店では発信しています。

いいえ。着物の丸洗い・京洗い・(お店の屋号など)洗いなど、着物の丸洗いルールでクリーニングする限り、水は一切用いません。

ですので水にしか溶けない・・・例えば汗汚れに代表される水溶性の汚れは一切落ちません。

着物の丸洗い(以下同じ)では汗成分の汚れは一切解決できない、とまずはご理解いただければクリーニングの選択を誤る可能性がググッと減ります。

洋服のクリーニングを主に行う一般的なクリーニング店の中でも洗浄力に力を入れ差別化を計っていらっしゃる店では、ドライクリーニングで水分汚れを同時に落とせるようセッティングされたソープ・溶剤で洗う店が増えつつあります。

しかし着物専門クリーニング店ではそのようなセッティングでドライクリーニング時に水溶性汚れを落とすような事をできません。

理由は簡単です。そんな洗浄力を強化した洗い方では色がにじむ・色が移る・脱色する・縮むなど、すぐに弁償につながる結果が毎日のように発生するからです。

差別化をはかり自店の継続利用をはかるために弁償につながるようなトラブルの可能性のあるクリーニングを ───誰が好き好んで行うでしょう?

ひとたびトラブルが起こればお客さまはカンカンに怒り、時には怒声をあびせられるでしょう。一度袖を通した着物は例え売価が300万円でも、二束三文の値踏みになる事は一度でも着物買取業者さんに依頼した方ならすぐにおわかりになるはず。

そんな時価の着物でも、2ヶ月前におろしたて、購入額は仕立て代コミで60万円だった!弁償してくれるのでしょうね! ───とガンガン詰められるようなトラブルを、クリーニング屋がするでしょうか?

もちろんしません。

こと着物の丸洗いに関しては安全性(イコール、弁償につながらないようなノートラブル性)を重視したクリーニング工法で、洗浄品質に目を向ければ「え?家の洗濯よりも性能が悪いの?」と疑いの目を持ってしまうほど洗浄力は低いものです。

当店の着物丸洗いに限らず、着物業界でいう丸洗いには洗浄力はない ───特に水にしか溶けない汗汚れ成分は少しも落とせない事をご理解の上で丸洗いの検討をされるのが最善の道だと、当店では考えています。

着物丸洗いクリーニング工程

3ヶ所の部位を溶剤で手処理
+ドライクリーニング
+仕上げアイロン

丸洗い・京洗い・生洗いなど要は
ドライクリーニング処理なので
縮み型くずれ心配なし

当店へご相談の際はムズかしくお考えにならず、ご自身が希望する内容を下記のような普通の言葉でお伝えください。

着物のクリーニングの勉強をする必要はありません。

  • ○年○月○日までに戻してほしい
  • ○円までが希望
  • ○円を超えると出せない
  • 特定部分の見える汚れが気になる
  • えりの汚れが気になる
  • しわが気になる
  • アンティーク・中古着物でそでを通すのが気持ち悪い
  • 着物で一般的なクリーニングができれば良い
  • ニオイがキツくて着れない
  • たくさん汗をかいたから気になる
  • 丈を○○cm出したい、詰めたい
  • 幅を○○cm出したい、詰めたい
  • 反物を着物に仕立てたい
  • 水で洗いたい

「丸洗いをお願いしようと思うんですが・・・」とのご相談をよくいただきます。

しかし経験上、着物クリーニングで一般的な丸洗い(京洗い・生洗い・『屋号』洗い)の本当の中身を理解している消費者は多くない、と痛感しています。

それは着物販売店スタッフや着付け/お花/お茶/日本舞踊などの習い事の先生方やスタッフの方も同じです。

実はえりの筋状汚れなどごく一部を除き、正絹着物の見える汚れは手作業である格安汚れ落としえり拭き/えり洗い等部分洗い染みしみ抜き変色処理格安柄足しなどでの処置が必要です。

また仕上げアイロンだけのご利用も可能です。

丸洗いはえりやそで口以外の見える汚れをキレイにするのにあまり効果的だとは言えません。そのため当店では丸洗いセットを必須とせず、気になる汚れだけをキレイにしてとのご要望を広く承っています。

『本当に丸洗いで良いのですか?』と逆に質問すると、後に上記例のような本音を伺う事ができます。

上記例のような直接的な希望を伺う事で、ご相談者様にとって『迷う要素の少ないお見積り』が可能となります。

ぜひ上記例のような普通の言葉でご希望をお寄せいただき、余計な処置を含まない適切なお見積りをお受取り下さい。


着物丸洗いは着物をほどかず
着物の形のまま洗う工法

着物クリーニングと言えば丸洗い

現在、着物クリーニングの代名詞は丸洗いです。

丸洗いは着物をほどかず洗う唯一の工法で、世間では「伝統的なクリーニング手法」だと知られています。(当店の格安着物みず洗いコースも着物の形のまま洗います)

伝統的、と言っても本来の日本文化の伝統的手法は洗い張りの方が圧倒的に歴史があります。丸洗いはたった100数十年の歴史しかないのです。(それでも長いと言えるのですが)

まる洗いは洗い張りに比べ圧倒的に安い費用で着物をクリーニングできました。

しかもクリーニングに出す事でトラブルが起こる可能性が特別低い、安心できるクリーニング法として普及した背景がありました。

丸洗いの特性、それは安全性

丸洗いの特性、もっとも得意な点は「クリーニングでトラブルを起こさず元の状態で納品できる事」です。 

洗浄力を気にする方にはとても向かないクリーニング工法ですが、着物に不慣れな着物初心者の皆さまにはとても心強いクリーニング工法です。

一目惚れして思わず購入してしまったアンティーク着物・中古着物を丸洗いクリーニングに出しても、少なくともこのような後悔はまったく生まれない工法です。

「あぁ、丸洗いに出して失敗!縮んだ!型くずれした!」

丸洗いで縮み・型くずれが起こることはまれです。

町にたくさんある洋服専門のクリーニング店はどうか知りませんが、少なくとも着物クリーニングのノウハウを学んだ着物専門クリーニング店では縮ませたり型くずれさせたりといったトラブル合う事はまず無いと思います。

丸洗いはそれくらい、安全性に特化した着物クリーニングだとお考えいただいて全く問題ありません。

洗い張りとは異なり、着物をほどかずに処理するので早いお店なら1~2週間で納品できるクリーニング方法です。

注意点:揮発性溶剤での処理で
水分を含んだ汚れは一切落ちない!

着物丸洗いをご検討の皆様にはぜひ知っておいて損はない、そんな案内になるよう心がけております。

▶まる洗い=丸洗い=京洗い=生洗い

ドライクリーニング

Q.着物の丸洗いはドライクリーニングと違うの?

A.はい、厳密には違う作業です

ドライクリーニングは専用のドライ機の中で洗浄するだけですが、着物まる洗いはドライクリーニングに3~4工程の手作業が加わります。

着物丸洗いは手作業とドライクリーニングを組み合わせた、主に正絹着物専用の洗浄方法の総称です。

Q.丸洗いと京洗いや生洗いは同じなの?

A.はい、お店ごとに作業工程に差があれど、

作業自体に大きな違いはないと思います。

 お店により使用しているドライ溶剤やソープなど異なる部分もありますが、京洗い・生洗いはお店・会社によるブランド名のようなもので、作業そのものは 着物丸洗いと同じと考えて良いと思います。

丸洗いは着物クリーニングの総称で、工程は以下の通りです。(作業順序はお店により違う場合があります)

■着物丸洗いの工程(きもの医の例)

(検品・お見積もりなどは省略)

(1) えり洗い(部分洗い)     

(2) そで洗い(部分洗い)     

(3) すそ洗い(部分洗い)     

(4) ドライクリーニング(全体洗い)

(5) 自然乾燥(機械乾燥の店もあり)

(6) 仕上げスチームアイロン    

(7) 本だたみ仕上げ         

※当きもの医の 丸洗いは (2) そで洗いの中にそでたもとの汚れ処理を含んでおりません。たもとが大きくくすんだ汚れの状態のお着物は他の部位も大きく汚れている事がほとんどで、まる洗いだけで全てがキレイにできる、との誤解をさけるためです。

独自見解ではありますが、丸洗いの洗浄能力はお店によって大差はないと思います。

作業工程最後のドライクリーニングで汚れの多くを除去できるようなイメージをお持ちの方がとても多いと思います。

実際にドライクリーニングで落ちる種類の汚れはあるにはあるのですが、汚れの種類別に見れば一部の軽い油汚れ以外ほとんどの汚れ成分を落とす事ができません。

ドライクリーニング自体の洗浄力を上げる方法は水分を混ぜるなど複数あります。しかしドライ機での機械洗い洗浄力をググッと上げようとすると、クリーニング事故につながる可能性が大きく高まります。

当きもの医ではドライ洗浄中に水分を一切含まない方式(大多数のお店が採用している方式)を採用しています。

高性能な洗浄剤が各メーカー様から販売されている中、ドライクリーニング中に少しだけ水分を含ませる事で汗抜きと まる洗いを同時に行っているお店もあるかもしれません。

着物丸洗いの最大の目的と意義は、なにより高い安全性だと考えています。

当店では着物丸洗いの特性・安全性を最大限考慮し、揮発性溶剤のみで洗浄する着物まる洗いと水を用いて洗浄する汗抜き格安着物みず洗いコースなど、お客さまの着物お手入れのご要望に応じた個別の作業をサービスメニュー化しております。

丸洗い?京洗い?生洗い?
ワケがわかりません!
ドライクリーニングです

全てはドライクリーニングを
ベースとしたクリーニング法

着物丸洗いは着物をドライクリーニングするだけでは軽い汚れすらもキレイにしにくいため、手作業でドライ溶剤と同じような揮発性溶剤を使って汚れやすいえりやそで口内側などを洗い、その後ドライクリーニングする、という技法です。

簡単に言えばドライクリーニングプラスアルファといったところで、あくまでも水を一切使わない工法です。

丸洗い工程
"部分洗い"の目的

【部分洗い=(1) えり洗い(2) そで洗い(3) すそ洗い(4) これらの組合せ】

丸洗い工程(1)~(3)の 各 "部分洗い"の目的は「軽い皮脂汚れ・水分を含まない化粧品汚れを落とす」ことに尽きます。詳しくは部分洗いをご覧ください。

きもの医では、丸洗いのご注文が必須ではありません

お客様が「今回は丸洗いは不要だ」とお考えなら、丸洗いをセットで注文する必要がなく、その分費用をおさえた着物お手入れが可能となっています。

  • えりしか汚れてない
  • そで口内側しか汚れてない
  • たくさん汗をかいただけで見える汚れはない

などの場合は丸洗いだと費用がもったいないので、個別に えり洗い、そで洗い、汗抜きなどを指定してご注文いただけます。

丸洗いはドライクリーニングを
含んだ処理方法なんだな、
とご理解いただければ幸いです。

きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございました。
m(_ _)m