見積もりFAQ 袋帯/名古屋帯
のみず洗いクリーニング

帯を水洗いしてキレイにしたい
→・・・それがなかなか・・・。

このページは残念ながら着物みず洗いでの帯への処置に対しネガティブなご案内となってしまっています。

皆さまのお手元にある多数のアンティーク・中古の袋帯と名古屋帯を安価に復活させたい気持ちや山々なれど、費用の面で画期的なみず洗いだけではなかなかオススメしにくい現状を改善できるよう今後も進化してまいります。

ごちゃごちゃ難しい説明は読んでられない!
すぐに店オススメのみず洗い方法を見る

・アンティークの名古屋を安く買った。でもイヤなニオイが。安いみず洗いで解決したい。できるでしょ?

みず洗いの注意点まとめページも目を通しました。あれくらいならなんとかオッケーできるかなって感じです。お願いします!

キチンと仕立てられた袋帯・名古屋帯は着物みず洗いコースのご相談もよくいただいています。

まことに残念ながら帯類のみず洗いは着物と比べられないくらいとてもリスキーです。

せっかく「みず洗いして気持ちよく締めよう!」と考えて注文したのに、納品時の状態が「?」ならみず洗いした意味がまるでありません。

このページでは袋帯・名古屋帯・丸帯などの帯の着物みず洗いコースをご検討の方に目を通していただき、みず洗いするにしても内容を深くご検討いただけるようまとめた内容となっています。

帯の着物みず洗いの考え方

 

帯芯がある帯のリスク

帯にもいくつかのタイプがあります。そのうち主にご相談を受けるのは袋帯と名古屋帯です。

帯についてはクリーニングする事自体、着物に比べリスクが高いと感じています。詳細は下記をご参照下さい。

染み抜きクリーニングの注意点・お見積り例より 

意外かもしれませんが着物みず洗いでは着物と帯なら着物の方が安全に洗い上げられる品が多い、これが当店の経験から得た知識であり事実です。

①帯芯主に綿は水で縮みます

袋帯・名古屋帯は水で洗うと表地の正絹生地よりも『帯芯=帯の中に入っている綿の芯地』の縮みが大きく、しかも帯芯の縮みはほぼ確実に起こります。

重要なので重ねて申します。帯芯の入っている帯はみず洗いで帯芯がほぼ確実に縮みます。縮まない帯芯はたまにある・・・くらいです。

帯芯の縮みは次の章でご案内する色移りと共に2大リスクのひとつです。

帯芯が縮むとどうなるでしょう?
 帯芯が縮むと縮んだ帯芯に表地が引っ張られ、あちこち吊った状態になったり両端に細かいしわができたり全体的に表地が波打ったようになります。縫い合わさっている帯芯が縮んだため表地が余計に余る現象です。

実は帯は1度でもキッチリ締めて着付けて動くと全体的に狂いが出やすい品でもあります。とは言えみず洗いで起こる帯芯縮みによる表地の型くずれ感はとても大きくそのままの状態で再び締める気にならないのでは?と感じるくらいです。

提供側のお店が正直に申し上げていますので「え?」と感じる方も多いでしょう。ですがこれは本当なのです。

特に帯芯があるタイプの袋帯・名古屋帯のみず洗いは一旦ここで踏みとどまってはいかがでしょう?という提案がこのページの主な目的のひとつです。

②帯の刺繍糸は色落ちします

袋帯・名古屋帯には柄付けによくる刺繍ししゅうが用いられています。

この帯に用いられる刺繍ししゅう糸は理由は不明ですが、着物に比べみず洗い時に色落ちが起こりやすくなっているようです。みず洗いの経験上、そう強く感じています。

刺繍糸から何かしらの成分がにじみ出てくる事もあります。

「目につく汚れがなかった帯をみず洗いしたらモヤモヤ色移りしみができた」事件が発生した際もみず洗いの注意点まとめページでまとめています通り、直す際は費用はお客様持ちです。

刺繍ししゅう糸からの色落ち・色にじみ・色移りは帯芯の縮みと共に、帯のみず洗いにとって最大リスクのひとつです。

『染料が繊維せんいから脱落する現象=色落ち』は技術が進んだ現代においても化学的に完全に防ぐ方法が確率されていません。

そのため色落ちが特に起こりやすいと考えられる帯のみず洗いはリスクが高い、とご案内している次第です。

③その他のリスクは同じ

ここまでご案内のみず洗い特有のリスクである帯芯の縮みと刺繍糸からの色にじみ・色移りトラブルを除けば、その他のリスクはその他の着物類とほぼ同じです。詳細は下記ページでご確認下さい。

みず洗いの注意点まとめページ

みず洗いと同時に気になるしみや変色の解決をご希望の際は下記ページにも目を通していただいた上でご検討を進められるのが最善です。

染み抜きクリーニングの注意点・お見積り例より 

みず洗い以外の解決策

帯のニオイ問題解決

袋帯・名古屋帯はその新品価格から、実際に消費者様の中で流通しているのはアンティーク品や中古・未使用品、長期保管品が主になっています。

そうした経路で入手した帯は着物同様、ニオイトラブルを抱えているものが少なくありません。「締めて動いていたらそのうちイヤなニオイが上がってくる」というものです。

袷着物に合わせるタイプや主に冠婚葬祭に用いられる『しっかりした生地の帯』は生地が厚く帯芯もあるためニオイの原因物質を相当たくさん抱えています。

その生地・帯芯の中に内包されたニオイの原因物質がお召しの際、体温が伝わると共に蒸発してニオイが上がってきます。

ニオイトラブルは一度でも感じてしまうと夏場の蚊のように付きまとわれてしまうイヤな記憶に変化します。

「ニオイを解決したいからみず洗いしたい → 相談したらみず洗いはとってもリスキーだとわかる → ではどうしたら?」

①帯芯を取り替える

帯芯は厚みのある綿の生地です。生地が厚みがある=ニオイの原因物質が留まれる場所がたくさんある品です。

そこで『もしイヤなニオイを少しだけ感じる』程度なら、リスクの高いみず洗いではなく和裁技術・お直しで帯芯を交換する方法が次善の策となります。

ニオイ原因物質をたくさん溜め込んでいる帯芯がなくなり新品の帯芯に変わる事でニオイ問題は『ある程度』の解決は図れると思います。

この方法は厚みのある袋帯・名古屋帯には効果が限定的でもありますが、『強烈なイヤなニオイに悩む帯』でなければコスパからみても十分効果が得られるケースが考えられます。

絽や薄ものなど真夏に締める帯なら帯の表地の生地量はとても少ないため、帯芯を交換するとある程度のニオイトラブルも解決の方向に向かうのでは?と感じます。

お話をひっくり返すようですがみず洗いのニオイ落ち効果に比べればニオイ除去品質は「ある程度」に留まるのは事実です。

ですが表地に異様な波しわや型くずれができたり色にじみが起こるリスクは考えずに済みます。

イヤなニオイが比較的少ない帯には一度検討してみていただければ幸いです。

②洗い張りする

より確実にニオイの原因物質を除去するには水で洗う方法以外、効果的な方法はありません。

着物や帯の水洗いは着物専門クリーニング店の多くで注文できる洗い張り(+お仕立て直し)と当店の着物みず洗いがあります。

正直に申し上げてニオイの原因物質を最大限落として!というケースでは洗い張り(+仕立直し)が最高に優れた処置です。

ただ洗い張りはお仕立て直しがセットになっているため費用的には少々苦しい部分があるかもしれません。

ですが当店の着物みず洗いでの帯への処置はご案内通り非常にリスクがあります。

費用が許せるのなら昔ながらの伝統工法で洗える洗い張りがやはりオススメです。

ただ・・・まことに申し上げにくいのですが当店では洗い張り(湯のし・染め直し等)の取り扱いがありません。

独自開発した着物みず洗いを少しずつ『新たな着物クリーニングの定番化にする!』と強い気持ちで提供しており、背水の陣として洗い張りの取り扱いを断念しているところです。

洗い張りは専門性が高い伝統工法で広い場所も必要となるため、独自に取り入れる予定も今のところない次第です。洗い張りをご検討の節はお手数ですが他店をお探し下さいませ。

 

③みず洗いバリューセットで水洗い

着物みず洗い料金はそもそも着物の料金に比べ、シンプルな作りにも関わらず帯の料金に割高感があると思います。これは商業クリーニングとして水で洗ったため起こるトラブルを最大限抑える工夫が必要なためです。

『みず洗いだけで帯を水洗い』するのは危険、とここまでご案内してまいりました。では着物みず洗いコースで分厚い袋帯や名古屋帯は洗えないのでしょうか?

いいえ、少しだけ費用を追加すると帯芯の縮み問題は解決できます。その方法なら洗い張り+お仕立て直しより安く、帯のニオイ問題を大幅に解決できる方法です。

その方法は和裁とみず洗いを同時に注文いただく帯のみず洗いバリューセットでの注文です。

みず洗いバリューセットとは

帯のみず洗いバリューセット案内を見る

帯のみず洗いバリューセットをざっくり説明すると・・・
 ①帯芯を外す
 ②帯芯を外した状態でみず洗いする
 ③帯芯を新たなものに交換する
 ───これが袋帯・名古屋帯のニオイトラブルの安全性が高い水洗い=着物みず洗いのご利用方法です。

この方法のメリットは縮み・型くずれを最小限に抑えられ、帯芯から何かしらの成分がにじみ出す事も刺繍糸からの色移りも最小限に防止しやすい点です。

帯芯自体も古いものから新しいものに交換するため縮みは出ず、ニオイの原因物質もないためみず洗いした表地と共にニオイトラブルはスッキリ解消できます。

デメリットは・・・ズバリ費用、コストです。帯芯代に芯の入れ替え代の合計で7千円程度、みず洗い料金に加算されます。

ざっくり言って袋帯・名古屋帯で1万円程度でみず洗いバリューセットをご利用いただけます。

みず洗いは当店が、帯芯入替えは他店が最安
マル秘の方法です

数千円の帯のみず洗いは当店でしか提供していないため自動的に最安です。しかし帯芯の交換・入れ替えというお直し料金は全国的に見て安くはありますが最安でもない・・・という悲しい事実を発表します。

費用を最小限に抑えるなら次の一手が最安ではないでしょうか。(当店調べ)

 ア)ご自身で帯芯を抜き当店にみず洗いを注文する
 イ)当店でみず洗いする
 ウ)納品後、安い帯芯を買って安く帯芯を入れてくれる業者様に注文する

これで見事、帯のニオイトラブルは解決できます。し・か・も、洗い張りよりもお安く解決できます。正確に言えば帯芯を交換するお店へ送料がかかる場合、往復送料負担なら当店の帯のみず洗いバリューセットの方が安くできるケースもあります。詳細はお調べいただければ幸いです。

誤解のないよう付け足します。当店は洗い張りについて実は大賛成派です。数百年前のお金持ちや高貴な身分の方しか利用できなかったサービスです。それがわずか数万円で利用できるのです。

品質面で言えばこれまでもこれからも、洗い張りを超える洗浄品質のクリーニング工法は出てこないでしょう。当然当店の着物みず洗いも洗い張りには劣ります。みず洗いのコスパをご理解いただけるなら費用対効果は洗い張り以上だと自負しています。でもクリーニングはコスパ以上に品質を最重要視されるサービスでもあります。クリーニング品質において洗い張りは衣類の水洗いクリーニングで世界一の水準だと声を大きくしてお伝えいたします。

洗い張りを否定する理由はまったく見当たりません。問題はお仕立て直しも自動的にセットにならざるを得ないため費用が少し大きくかかる点だけです。

もう一度言います。洗い張りは費用を除き、同業者として「一切悪い面はありません」と断言できます。

その考えから、数万円程度の費用負担が苦にならない方にはぜひ時代の流れにより少なくなりつつある洗い張りを行うお店を利用し、日本古来から連綿と続く洗い張り技術の維持にご協力いただきたいと考えている次第です。繰り返しですみません。当店は洗い張り業者様とは一切取引関係やお付き合いがなく、洗い張り・湯のしはサービスとしてお取り扱いがありません。洗い張り・湯のしはぜひ他店へご相談下さいませ。

帯のニオイ問題解決にかかる費用はざっと1万円がオススメです。これは店がけを増やしたいというより、数千円のみず洗いご利用で納品時にガッカリされるのを防ぎたいという考えからです。クリーニングに出して、2度とお召しになれないような品質で戻ってきたら?そんな店を利用する事は2度とないはず。こんなケースは帯も不幸、お客様も不幸、最終的に「あの店はダメ」と言われる店も不幸です。これを「ガッカリ」と表現しました。

また最高の品質をお求めなら洗い張りをオススメします。

番外:みず洗いだけでやってよ!

「みず洗いなら3千円とかで済むのにみず洗いバリューセットでは1万円?」と、費用面から「みず洗いで何とかできないの?」とお感じになる方も多いでしょう。

その場合はリスクをご理解の上で一度みず洗いで帯のクリーニングをお申し付け下さい。トラブルが少なければラッキーで、わずか数千円でニオイ問題は解決でき、型くずれも最小限で済む品もなくはありません。

こうした成功と言える仕上がりになる帯は・・・申し上げにくいのですが実は半分、5割程度あります。

提供するお店としましては商業クリーニングで成功率が5割 ───この確率でしか成功しないのなら本来ならメニューに載せるべきではないと思います。

ただ一定数、「どんな結果になっても構わないから『とりあえず』みず洗いしたい!」とのご要望も実際にはいただきます。そのため選択肢のひとつとしてメニューには残している、これが正直なところです。

どうか忘れないで下さい。みず洗いを提供するお店が恥をしのんで本当の事を正直にお伝えしているのです。

みず洗いで芯地がギューッと縮み、それにより表地が引っ張られ吊った部分が相当あり、畳んだ状態で全体的に波打ったような生地の余り感がハッキリした品質 ───これが我慢できる帯にだけ、最小限の費用でみず洗いをご用命いただければ幸いです。

みず洗いのリスクご案内時によく申し上げる言葉に『後悔』があります。くどい説明は省きますが、後悔は事後に感じる感情です。『事後に感じる感情』 ───。

節約したクリーニングで成功を望み結果成功だった・・・結果失敗だった ───この差はとても大きいと感じる次第です。

注意喚起はいたしました。ご判断はお客さま次第です。
お店としては帯に限っては帯のみず洗いバリューセットでのご利用を力強くオススメいたします。

お見積り相談時の注意点

袋帯・名古屋帯のみず洗いクリーニングをご希望の際はこのページの内容をご理解の上でご相談を進めてくださればと思います。

特定部分の汚れだけをキレイにしたい場合でも、画像見積もりをご利用の際は下記情報を併せてお寄せ下さい。

1. 帯芯の有無
2. 水で洗いたい具体的な理由
3. 帯のお太鼓・タレ先・全体の柄付けがわかる全体画像
4. 汚れ落としなどを一緒にご検討の際は個別の汚れが判定しやすい状態の画像や補足情報
 ※撮影時は吊った状態ではなく床や机などに置いた状態で撮影下さい。吊った状態で撮影した画像は陰影が強く出て汚れがよくわからない案件があり二度手間になる場合があります。

納期や料金表の確認などシンプルなご相談は
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全体を通じなかなかのネガティブっぽいご案内となってしまいました。その点お詫びいたします。

袋帯や名古屋帯をそのまま仕上がった状態で水で洗うみず洗いは本当にコスパにこだわった場合にだけご検討を進めるのが正しいミチだと感じます。

できればご相談いただく全ての『帯の皆さま』を救ってさしあげたいのですが、どうしようもない費用の壁もございます。

そもそも法外な費用見積もりを提供する事はありませんので、ご案内したお見積りが多少割高でもご理解いただければ嬉しいです。

ご相談ご依頼の節は、よろしくご検討くださいますようお願いいたします。

きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございました。
m(_ _)m