丸洗まるあらいに出す間隔は
どのくらいがいいの?

業界標準では着用ごとが
ベストだそうだけど?

当店へご相談の際はムズかしくお考えにならず、ご自身が希望する内容を下記のような普通の言葉でお伝えください。

着物のクリーニングの勉強をする必要はありません。

  • ○年○月○日までに戻してほしい
  • ○円までが希望
  • ○円を超えると出せない
  • 特定部分の見える汚れが気になる
  • えりの汚れが気になる
  • しわが気になる
  • アンティーク・中古着物でそでを通すのが気持ち悪い
  • 着物で一般的なクリーニングができれば良い
  • ニオイがキツくて着れない
  • たくさん汗をかいたから気になる
  • 丈を○○cm出したい、詰めたい
  • 幅を○○cm出したい、詰めたい
  • 反物を着物に仕立てたい
  • 水で洗いたい

「丸洗いをお願いしようと思うんですが・・・」とのご相談をよくいただきます。

しかし経験上、着物クリーニングで一般的な丸洗い(京洗い・生洗い・『屋号』洗い)の本当の中身を理解している消費者は多くない、と痛感しています。

それは着物販売店スタッフや着付け/お花/お茶/日本舞踊などの習い事の先生方やスタッフの方も同じです。

実はえりの筋状汚れなどごく一部を除き、正絹着物の見える汚れは手作業である格安汚れ落としえり拭き/えり洗い等部分洗い染みしみ抜き変色処理格安柄足しなどでの処置が必要です。

また仕上げアイロンだけのご利用も可能です。

丸洗いはえりやそで口以外の見える汚れをキレイにするのにあまり効果的だとは言えません。そのため当店では丸洗いセットを必須とせず、気になる汚れだけをキレイにしてとのご要望を広く承っています。

『本当に丸洗いで良いのですか?』と逆に質問すると、後に上記例のような本音を伺う事ができます。

上記例のような直接的な希望を伺う事で、ご相談者様にとって『迷う要素の少ないお見積り』が可能となります。

ぜひ上記例のような普通の言葉でご希望をお寄せいただき、余計な処置を含まない適切なお見積りをお受取り下さい。


着物に汚れがどれだけある?
それが丸洗い検討のポイント

丸洗いしてしわがなくなったピカピカな着物も、保管していれば多少のしわができてしまうケースが少なくないようです。陰干し虫干しを習慣になさっている方のお悩みのひとつだと感じます。

「せっかく○○円もかけて丸洗いしたのに 丸洗いキャンペーンにつられて注文しに行って買たくもない○○を○千円で買わされた恨みも一生忘れぬ・・・ 」というお怒りパワーもあるとかないとか・・・。

お召しになる前のしわ問題を考えると当店の 最安1,200円~ドライ洗いができる ドライ洗いまとめ割に「とりあえず出しておく」のが適している、と言えるかもしれません。

アイロン仕上げを省きその分格安料金で洗える「とりあえず洗うだけ洗っとこ」というドライ洗いまとめ割は、「ひとまず安く洗いたいだけ」というニーズにピッタリコと当てはまります。

これまではこのページでご案内の通り「丸洗いに出す間隔は結局お客さまの気持ち次第」と発信してまいりました。

当店では2021年10月より「洗うだけの格安プラン=ドライ洗いまとめ割」を導入いたしました。このプラン開発は皆さまから日々いただくご相談が元となりました。

定価1点1,500円で振袖も色留袖も訪問着も袋帯も長襦袢も洗えるプランの登場です。さらに会員様限定でご注文により1点当たりの料金を値下げするという、会員様ならいつでも誰でも割引利用が可能な画期的プランです。通常サービスのため年中ご利用いただけます。

早く洗うべき?とお迷いなら

これまでとは少し異なった見解をご案内ページの冒頭で申し上げます。ドライ洗いまとめ割で「とりあえず気づいた時に洗うだけ洗っておいてはいかがでしょう?」と。「洗うだけ」に特化し仕上げのアイロンを省いた超シンプルなプランです。

「でもアイロンをしてくれないとねぇ・・・。アイロンが苦手だからクリーニングに出すようなものなのに・・・。」というお声には最安1点2,000円~!の高性能丸洗い 丸洗いまとめ割プランをオススメします。

一般的に着物丸洗いクリーニングを行っている店と同じように洗い、仕上げアイロンがあり、会員様なら注文数により割引サービスが適用されるプランです。

丸洗いに出すベストな間隔は
どのくらい?の、答は・・・

これは特にご新規のお客様の問い合わせ時によく伺う質問です。

 

当きもの医は業界標準のルールにとらわれず、私どもが「こうだ!」感じた事をベースにサービスメニューや作業を開発している、とても変わった意見を持つ悉皆屋です。 この点をおさえた上で読み進めてくださいませ。

 

独断による結論。

パッと見の状態で汚れ感がなければ丸洗いに出す必要は限りなく低い
です。

 

そして「汚れ感の是非」を判断するのは皆さまおひとりおひとりです。

けして着物専門クリーニング店ではありません。

 

○年前に丸洗いした、着たらすぐ丸洗いと聞いた、5年位洗ってない、悉皆店に相談したら注文を促された・・・
丸洗いしたい時に出すべき

着物専門クリーニング店・悉皆店は「汚れを見つけ出してキレイにし、その事を評価される係」です。

 

「汚れがあったらキレイにして!」と依頼される事も多く、皆さまがお気づきにならない汚れを発見するのは大得意です。それでご飯を食べているのですから。

 

ところが・・・

ご自身が気にならない、気づいていない、あるのを知らなかった汚れをキレイにしたい場合、90%以上の確率で丸洗いではなくしみ抜きや変色処理での処置になります。

 

(丸洗いでキレイにできると言われるほとんどの汚れがかけえり部分の筋状汚れ、そで口内側の手首とこすれてできる皮脂汚れ程度、というのは業界内の常識です)

 

この場合も丸洗いが必要か?と問われれば「えぇ・・・まぁ・・・あの・・・う~~~ん・・・ご希望ならやっといた方が良いと思います」くらいの回答になります。

 

丸洗いでご飯を食べている着物専門クリーニング店に相談すれば丸洗いをススメられるのは当然なのでした。(^^;

 

まず重要なポイントとしてご自身で汚れを感じるかどうか、それを丸洗いに出す出さないを考えるスタート地点だと覚えておきましょう。

 

丸洗いの欠点は汗を落とせない事

着物を丸洗いクリーニングに出すタイミングを説明するページで非常に重要な情報をご案内します。

着物の丸洗いは"ドライクリーニング"がベースです。ドライクリーニングではやり方次第で汗の成分=塩を洗い流す事ができます。

ところが着物の丸洗いに限って言えば汗成分を洗い流せる能力を持たせているお店はかなりの少数派だと思います。

丸洗いに汗汚れを除去する能力を与えない理由は採算に合わないからです。

毎日の生活で使っている食器用の中性洗剤で例えると、油にまみれたゴテゴテ汚れなどはよく落ちるものの、ごはん粒がヘバりついた汚れを一切キレイにできない洗剤があるとして ───そんな洗剤、使いたいでしょうか?

 そんな潜在は使いたくないはずです。油汚れしか落とせない食器洗い洗剤には大きな価値はない、と断言できます。

 現代の着物クリーニングではこのような「油汚れしかキレイにできない」着物丸洗いクリーニングが標準として支持する方は少なくありません。

情報発信が少なすぎてこうした丸洗いのデメリットをご存じなくクリーニングの相談をされ、結果として思わぬ出費になったりほどほどの説明しか受けず「ナニコレ?全然汚れが落ちてない!」といったミスマッチが今日も全国で起こっています。着物丸洗いの何たるかを知る人が増えればこうしたミスマッチも減らせるはず ───
 この考えであえてこの一文を付け加えました。

「何を言ってるの?他の店の事は知らないでしょ?」
 という疑問もあろうかと思いますが、冷静に考えるとそう推測せざるを得ません。

着物の丸洗いクリーニング料金は老舗の高級店と言われるお店で8千円くらいです。

8千円は着物1点を洗う対価としては高いと感じられる額です。
 ですが・・・そうした高級店でも『汗汚れの解決』は別料金で汗抜きなどのサービス名で手作業で受けていらっしゃるはずです。

なぜなら丸洗いに汗汚れ落とし能力を与えるとすると採算ベースで考えれば1~1.4万円はかかるからです。

汗汚れを解消するには水にしか溶けない汚れを「溶かす」加工剤の添加が不可欠です。

この加工剤自体は良いものばかりで問題はありません。問題はむしろ着物の側にあります。  ここで言う着物は正絹、つまりシルク100%の生地でできているものを指します。

正絹は水に濡れる事でさまざまなトラブルが起こります。その代表が縮む、色にじみや色落ちです。

着物1点洗うのに、何点かに1点必ずこうした縮みトラブルや色泣きトラブルが起こるとどうなるでしょう?

丸洗いのオペレーションはグチャグチャになります。

丸洗いは唯一のメリットが最高基準の安全性です。
 その丸洗いで・・・例えば20点に1点、色にじみが起きたり縮みが起こってその補正・修正に手を取られたらどうなるか?

着物の縮みや色にじみトラブルは飲食店で例えると食中毒事件のような大事件と言えます。

近所でよく利用していた飲食店やスイーツ店があったとして・・・昨年食中毒を出した店が、今年に入ってまた食中毒を出した・・・そんな店、利用されるでしょうか?

安全性が最大の武器である丸洗いにそんな重大なトラブルを続出されては商売上がったりです。お店のファンもどんどん離れていくでしょう。

店主の立場で考えるとそんな危なっかしい作業は取り入れない、これが正解のはずです。

衣類にできる汚れのとしてはトップに数えられる汗汚れを一切落とせない着物丸洗い ───これが現代の着物クリーニングの標準になっている事が業界の闇の部分と言えるのかもしれません。

当店でも丸洗いを扱っており、丸洗いに適した汚れの着物がある事を事実として知っています。
 ここで申し上げているのは「着物クリーニングの標準は丸洗いですよ、だから丸洗いはセットする前提で注文できますよ」といった悪習をご存じなく丸洗いを注文しようとしている方に対する警鐘です。

「ついこの間そでを通した着物」で「見た感じ汚れはない」けど「とりあえずクリーニングはしておこう」と感じる着物には丸洗いはとても適しています。

重要な点を重ねて申します。
 着物丸洗いクリーニングでは汗の成分を落とす事はできません。
 汗は手指の皮脂汚れ以上に将来の着物トラブルに直結する大きな要因です。

これまで日本全国で標準とされてきた丸洗いや丸洗い+汗抜き処置のクリーニングにこだわるのを・・・そろそろ見直しませんか?

着物の最高のクリーニングと言えば洗い張りです。ですが洗い張りは万円単位の費用がかかってしまいます。

当店には独自開発した格安着物みず洗いがあり、文字通り水で洗うので汗汚れを大きく除去できます。

しかも費用は数千円、色の淡い着物など条件が合えば裏地のあるタイプの袷着物あわせで2,900円、裏地がないタイプの単着物ひとえなら2,400円という丸洗い料金よりも格安料金で洗えます。

当店の安価な着物みず洗いには一定のリスクがあるものの、お家で行うドライモード洗いや手洗いに比べはるかに高い安全性も備えます。

汗汚れは無視し続けてよいのでしょうか?
 当店の回答は「NO」です。

ここで当店の「着物みず洗い」ページに誘導するのは事実を事実として発信している情報とはいえ、同業他社さまに対し倫理的に良くないと判断せざるを得ないため着物みず洗いへの誘導は控えます。

興味がある方はまことにお手数ですが料金表のページからご確認下さいますようお願いいたします。

このページで申し上げたかったのは、現代の日本において着物クリーニングの代表でもっとも利用されている着物丸洗いクリーニングは汗汚れを一切落とせないサービスであるという事実のみです。

丸洗いに出す見極めポイント

1. 全体的なくすみ感の解消

→ほとんど効果なし

 

まる洗いで全体のくすみ感を除去する・・・というのは、当店独自の見解では幻想に近い誤解、と考えています。

 

丸洗いはざっくり言って主たる作業はドライクリーニングです。

 

ドライクリーニングの溶剤自体はとても洗浄力が弱いため、洋服を主に扱う街のクリーニング店ではドライ溶剤専用ソープを混ぜ合わせて洗浄力を強化して機械の中で洗います。

 

ところが着物専門クリーニング店でのドライクリーニング(=丸洗い)では「着物=超高級品=トラブルを起こせない」と、まず何を置いても安全性を求められます。

 

そのため丸洗い時に「洗浄力の高いソープの使用を極力控え、ドライ溶剤のみに近い状態で洗浄する」場合もあります。(お店により考え方が違うと思います)

 

洗浄力が弱いドライ溶剤の機械洗浄で落とせる汚れは主に軽い油汚れ、軽い皮脂汚れ・水分を含まないファンデーションなどの軽い化粧品汚れくらいです。

 

全体的に着物がくすんでいる、というご相談の着物をつぶさにチェックすると、「丸洗いだけでは落ちない」「経年劣化による染料劣化」などが大半で、丸洗いしたから「くすみ感が解消できそう」と感じるものはほとんどありません。

 

例えばもっとも汚れやすいかけえりの筋状の汚れは、軽いものならある程度落ちますが、3回、4回と着回してからの丸洗い注文ではドライクリーニングだけでは落とせないのが実情です。

 

自転車のチェーンのどす黒い油がギュギュッとこすれてキツくまとわりついた汚れはドライクリーニングだけでは落とせない事の方が多いくらいです。

 

では丸洗いで落とせないの?となりますが、丸洗いはドライクリーニングと一部手作業による処理が含まれるクリーニング方法で、この一部手作業による処置を組合せる事で汚れやすいかけえり部やそで口内側の皮脂汚れをキレイにします。

 

つまり全体的なくすみ感を改善する目的で全体的なくすみ感を解消できない丸洗いを注文する、というのは目的と結果がズレている事になるのです。

 

そのため当店ではくすみ感解消のための丸洗いのご相談時には「丸洗いは不要では?」とご案内しています。(もちろんご理解の上ご注文くださればとてもウレシイです)

 

2. えりの筋状汚れの解消

→条件付きで効果あり 部分洗いがお得

当店を含めた多くの悉皆屋では丸洗い時にドライクリーニングに加え、作業工程にえり洗い・そで洗い・すそ洗いの3工程を含めた工法となっています。(丸洗い・京洗い・生洗いなど名称は違えどほぼ同じ作業工程です)

 

特に着物を着慣れない方の場合はヘタをするとたった1回のごくごく短時間の着用でもかけえりに筋状の汚れをつけてしまう事が多々あるようです。

 

慣れた方でも2~3回着用するとやはり筋状の汚れがうっすらと見えるようになってきます。

 

着物を陰干ししながらチェックする際、よく観察すればどなたに限らずこのえりの筋状汚れは確認できます。(汚れがない時はもちろん発見できません)

 

着用時、肩や頭を同時に動かした時にスッと首やアゴにこすれてできる汚れですので、注意して着用すれば汚れにくいとは思います。

 

実際には当店に届くお着物のうち1度もそでを通していない着物を除けば、ほぼ100%の確率でえり汚れは発見できます。(汚れを探し出す係ですので)

 

その汚れがご自身にとって気になる汚れと感じるかどうかが丸洗いに出すださないの最大の見極めポイントだと思います。

 

ここまで読みすすめられた方は「丸洗いにはえり洗いが含まれるんでしょ?じゃあえりに薄めの筋状の汚れがあるから丸洗いでいいの?」とお感じになるかもしれません。

 

が、もしその他の部分に気になる汚れがなければえりだけを洗うえり洗いだけをご注文いただく事で着物お手入れの費用を限りなくお安くできます。

 

短期間の着用1,2回の軽い皮脂汚れ・ファンデーション汚れならえり洗いのみで、または丸洗いでもかなりキレイにできるはずです。

重要なポイントとして、ここまでのご案内は「軽い汚れの解決」編で、かなりの回数着込んで筋状汚れが真っ黄色や茶色に見える状態にまでなっていれば丸洗いで解決するのは現実的ではなくなります。

 

その際はしみ抜きやしみ抜き漂白(変色処理)+染色補正、かけえり交換などの方法で処置する必要があります。

 

当店では丸洗いはご注文時に必ず必要、セットで注文する必要はありません。

 

えりの汚れだけをキレイにしたい際はえり洗いのみ、またはしみ抜きのみ、かけえり交換のみでご相談・ご注文いただけます。

 

3. そで内側の汚れの解消

→条件付きで効果あり 丸洗いがお得

そで、特にそで口の内側は手首や上腕部とこすれて皮脂汚れができやすい部分です。

 

ただ正直、他の方から見て「バレにくい」汚れですので、ご自身がなんともなければ洗う優先順位は低くなると思います。

 

当店の立場はまったくこの通りです。

 

ただ一般的に着物に不慣れな方が着物の汚れ・着物全体の汚れ感をチェックするには、このそで口内側の汚れ加減はとても役立つと考えています。

 

かけえりは注意して上手な所作で着回せば汚れの付着を遅くできます。

 

ところがそで口内側は所作うんぬんでは汚れの付着を避ける事ができません。

 

着れば必ず汚れる ───

そで口内側、そで口をペリッとめくったフチの部分は、たった1度、数時間の着用で汚れが確認しやすい部分なのです。

 

この部分に普通の方々が見て「汚れてる!」とわかる程度汚れがあれば、かけえりも確実に汚れてるはず ───このようにお考えいただいて間違いありません。

 

このような場合は丸洗いはお得な汚れ解消プランとなります。

 

「お得な」と表現するのは丸洗いにはえり洗い、そで洗い、すそ洗い、全体ドライクリーニングに仕上げアイロンまで含むからです。

 

丸洗いは洗浄力自体大したものではありませんが、軽い水分を含まない汚れなら汚れやすい部分を中心にキレイにし、最終的にアイロンが入るので、注文して戻ってくればそのままタンスへGOできます。

 

この全文に魅力をお感じになる状態の着物なら、丸洗いはとってもオススメの着物クリーニングです。

 

かけえりには少々汚れが見えるけどまだクリーニングしなくて良さそう、でもそで口内側の汚れは気になる、という場合は部分洗い・そで洗いのみでのご注文が可能です。

 

誰でもできる
着物の汚れを安く上手に
キレイにするコツ

洗い過ぎは良くない?

Q.丸洗いに出すたびに生地は傷む?

A.キチンとしたお店なら全然オッケーだと思います。

どうしてもクリーニングに出すタイミングを教えろ!!という声に対してあえて答えます。

キレイ好きな方で3~4回着用で1回お手入れ、面倒くさがり屋の方ならシーズン終わり=次のシーズンまでそでを通さない季節になったらお手入れ、のサイクルでよろしいと存じます。結局「どのタイミングでクリーニングお手入れを行うか」は持ち主様の専権事項です。普段着でガンガン着て楽しみたい品や大事に何年も美しい状態で維持したい品などアイテムごとの判断がベストです、と言うのが正解なのかもしれません。

当きもの医ではだけ洗うえり洗い口だけ洗うそで洗い、気になる汚れだけキレイにする染み抜きだけ、しわを解決するだけの仕上げアイロンだけなど、必要なお手入れのみをご注文いただけます。

そうする事で費用を抑え、なおかつ洗う事によるダメージも最小限にできるメリットがあります。

丸洗いで痛みが少ない理由

丸洗いはちゃんとした店なら1点ごとにネットに入れ管理が行き届いたドライ機で必要最小限の時間、洗います。

いわゆる『たたき洗い効果』を得るためドライ機の中でドタンバタンさせますがドライ洗い中、実はあまりダメージを受けません。

説明するととても長くなるためあっさり説明します。

ドライ機の中でドライ溶剤にひたして洗うので皆さまからすれば「水で洗うのと同じような感じでしょ?」と思われている事でしょう。

ですがドライ溶剤に濡れている状態は化学的には乾いているのと同じ状態です。『濡れている』という表現は水が主語です。『水に濡れている』と言いますが『ドライ溶剤に濡れている』とは言いません。

今目の前にある着物を洗濯ネットに1点だけ入れ、立った状態で腰くらいの高さから床に落としてみましょう。

ドサッ!という音に心配があるかもしれません。でも大丈夫です。これを100回繰り返したとしても着物には大きなダメージはないはずです。縫い糸や生地自体がすでに「死んでいる」状態であればこうしたたたき効果で縫い糸切れや破れが起こる可能性はあります。ただしこれはたたき効果が原因ではなく着物が死んだ状態になったのが原因です。

何が言いたいかと言うと「ドライ機の中では乾いた状態で洗うため、着物にとっては大きなダメージにはならない」という点です。

しっかり理解する必要はありません。単にドライクリーニングする事自体は着物へ大きなダメージを与えない、とぼんやりわかっていただくだけで良いと思います。

クリーニングと丸洗いは違う

このページでは丸洗いについて解説しているため染み抜き や黄変変色を解決する事は前提としていません。

例外的に言えばさんざお召しになって楽しんだ後、何年も保管しっぱなしで久しぶりに丸洗いに出す ───こんなお着物もあるでしょう。

この際、どんなにイタまないように注意しても、こすらないと落ちない掛衿かけえり刻まれたコテコテの皮脂・ファンデーション汚れ種類の汚れなど、どうしても同じ部分をこそげ落とす作業を行う必要があります。

その意味では生地にダメージを与えてしまうのは事実としてあります。でもこれ、丸洗いやえり洗いというクリーニングが悪いのでは?という質問の回答にはなりません。

逆です。クリーニングしなさ過ぎてダメージを与える結果・・・つまり丸洗いしないために起こるダメージと言えます。

丸洗いでは確かに同じ場所をこする作業が含まれますが、汚れが薄い状態で持ち込めばそんなにガシガシにこすらずに済みます。

当店では安全性を考慮してしみ抜きガンを使用してできるだけダメージを与えないようにしていますが、汚さないのが一番!とわかっていても、汚れるものは仕方がありません。

10年で10回丸洗いクリーニング・・・

多いか少ないかは判断しきれませんが、この程度で生地に大きなダメージが残るのは、ヘビロテでたくさんの回数着た着物くらいかと思ったりもします。

回数を重ねるとどうしてもえりやそで口内側に皮脂汚れ・ファンデーションなどがどんどんたまってまいりますので。

汗抜きは水を用いた工法ですので、比較すればまる洗いに比べると生地へのダメージは大です。(丸洗い・生け洗い・京洗いの最高最大の特徴は、高い安全性のみです)

でも汗をたくさん吸って気持ちが悪ければ汗抜きせずにはいられないのも事実だと思います。

着物愛好家の皆様には反発をされるかもしれませんが着物も洋服と同じ消耗品だという側面がありますので、ガシガシガンガンに着てあげた方が着物冥利につきるのでは?などと思い至っているところです。

着物をガンガン着用
↓ ↓ ↓
きもの医へガンガン注文殺到・・・ 

などという悪だくみを意識している訳ではないのですが・・・。

宣伝に聞こえてしまったとしたら、申し訳ありません。

特に変色黄変はキツい処置

長期間保管する事が前提の衣類である着物には長い時間生きていく中で変色が起こる運命をさけられません。なぜなら ───

・着物の元、反物製作時に職人さんが触った部分
・反物をチェックするため反物を広げ、巻き上げる呉服店さんが触った部分
・反物を着物に縫い上げる和裁士様が触れた部分
・着物を陳列する際に店員さんが触れた部分
・お客様が触れた部分
・購入時にたたむ際に触れた部分
・家で広げてたたむ際に触れた部分
・お召しになる際ご自身や着付け師様が触れた部分・・・

これら全ての機会に手指・手のひらが触れた部分に皮脂が付着します。着物を前にしてお話に花が咲けば・・・もうおわかりですね?

人が触れた部分や汚れの原因物質が付着した部分は空気と湿気の反応でいずれ・・・長い時間をかけて変色している運命。

この運命は変える事はできません。人が生まれ人生を謳歌し、いずれ土に帰るのと同じです。

長い間時間をかけて発生する事で知られるアク=黄ばみ=変色黄変を除去する漂白作業は生地に大きなダメージを与える部類の作業です。

漂白剤が見えない汚れの残留物に反応して

「わわっ!あああ穴がぁぁっ!!」

というトラブルも実際にあったりします。(マレですが)

「丸洗いする事」は着物をクリーニングする際の方法のひとつで、丸洗いイコール着物クリーニングではないのです。

この前提で言えば冒頭申し上げた通り、適切な丸洗いで着物に大きなダメージを与える事はない、これが事実です。

陰干し虫干し+汚れ
チェック
せを呼ぶ

なんとなくおわかりだと思います・・・ より正確に少し長めに説明を聞いていただけるなら 丸洗い以上にもっとも着物にダメージを与えるのはなんと、無視して忘れ去り放置しっぱなしにする事です。

そう。生地を傷める着物お手入れは最後の着用後、さんざ着まくったお着物を長期間タンスなどにほったらかしにする事です。

ドキッ!

とした方。心当たりがある方・・・ぜひ時間がある時に心当たりのお着物様に想いをはせてみて下さい。

ぜひ、年1回でも良いですので陰干しをしてあげてください。^^;

「クサいものにはフタを 汚れたかもしれない着物の汚れを「なかったようにふるまう」行為 」は、今後もお召しになって楽しみたい着物にとって悪い事ばかり生じさせます。なんにも良い事はありません。

着物を着用できない状態に追い込んでいるようなものです。

陰干しをするならぜひ、その時同時に汚れチェックを習慣にしましょう

↑ ↑ ↑ これ、本当に着物のお手入れ費用を安くする、もっとも大切なコツです。

年2回以上の陰干しで汚れチェック!
えり・そで口に汚れがある
丸洗い
汚れがあっても気にならない
お手入れなし
これで結構、大丈夫です

 

 要約するとこのようなご案内になります。

ご理解を深めていただけたとすれば幸いです。

 

着物お手入れの際は、いつでもお気軽にご相談くださいませ。

きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございました。
m(_ _)m