普通の皆様はしみ・汚れ・変色をたいてい「しみ」「汚れ」と表現しますが古い着物に突如現れる黄色・茶色い汚れはほとんどの場合、「変色」です。
絹生地に現れる変色はわかりやすく言えば生地の元、糸が染まっている状態と言えます。
着物は赤色、青色、ピンク色、ワイン色、様々な色に染められていますがざっくり言って糸を染めて発色させています。
つまり絹生地の変色は長期保管時の環境ともろもろの原因により勝手に染まってしまった現象と言えるのです。
変色は要するに絹の老化現象です。人の肌に年齢と共に現れるしみ・くすみ・たるみ・しわと同じく、年月を重ねると誰にでも起こる老化現象です。
現代科学では防げない現象のひとつです。
変色を消せる溶剤は唯一「漂白剤」で、漂白剤はそもそも染料を糸から脱落させる・・・つまり脱色させる薬です。
脱色させる薬で変色を消すため、当然処置する際に漂白剤が付いた部分は脱色が起こりやすいのです。
脱色するとどうなるか? ───
白っぽくなる、明るくなる、青味が失われ赤っぽくなる・黄色っぽくなるなどがよく起こる現象です。
そのままでも元の変色がある状態からすれば大きく改善しているケースが多いものの、そのままではやはり人の目に留まる程度違和感が出るケースも少なくありません。
解決するには? ───
脱色した部分に部分的に染料を塗る「部分染め」で解決します。
この部分染めの案内が不可欠なのは、着物クリーニングの費用としてもっとも高額な処置のひとつだからです。
「白くなっても、青っぽくなっても黄色っぽくなっても赤っぽくなっても、変色が消えるだけでいいのよっ!」とおっしゃる方も、長々続くこのページを今後の参考に読み進められる事をオススメします。
当きもの医を利用しようとお考えの皆様は「特に」、です。
変色は鉄がサビて赤茶色になるように、シルバーの指輪がくもるように、りんごをカットすると断面が赤くなるような、いわゆる酸化現象を指します。
もっとも大きな原因は空気に触れ続ける事です。
正絹着物は短期間で消費される洋服に比べて変色しやすいと思われがちですが、実はその原因は長期保存です。
長期的に空気に触れ続ける事で変色を起こします。
変色はいわばとても日常的な普通の現象で、防止する事もできるようですがとても膨大な手間と費用が必要です。
初期の薄い黄色の変色も末期のこげ茶色の変色も、変色を消す作業はいわゆる漂白処理で行います。
変色を消す、変色をキレイにする方法は、今のところこの漂白処理か柄足し処理の2つしかありません。
「黄色・茶色のしみの見積りを頼んだだけなのに、染色補正まで案内するのはなぜ?」
漂白に用いる漂白剤には変色を消す作用に加え、効能の1つに青や赤の染料をこわす副作用があります、がもっとも簡単な回答です。
要するに漂白で変色は消せるけど脱色・色ハゲする事も多いです、変色が消えても脱色したままではやはり同じ意味で具合が悪いため、部分染めまでが1パッケージなんです、という内容です。
着物に限らず、漂白剤は染色を破壊し脱色させる力を持っています。
ただあらゆる着物や染色が必ず脱色を起こすのか?と問われれば「いいえ、そうではありません」が正解です。
正しくは「脱色する着物があります」、そして「脱色しやすいのは古い着物、保存状態が悪い着物、これまでの着物クリーニングやしみ抜き処置の作業状態が悪いものなどに起きやすい」となります。
ざっくり言って古い着物ほど脱色しやすいのです。 あと脱色しやすいのは青い染料がたくさん使われている青・緑・紺、そして黒です。濃色であれば赤でも黄色でも脱色はかなりの確率で起きます。なぜなら変色を消す事ができる唯一の溶剤・漂白剤は本来の役割として、染料と繊維の結びつきを剥がす=脱色させるための薬剤だからです。
薄い黄色~濃い茶色まで、変色にはさまざまなレベルがありますが、基本は同じ手法で処理し、変色を消します。
変色をキレイに消す処理の作業手順は次の通りです。
作業 順 |
必要性 | 処置の作業名 | 作業の目的 |
---|---|---|---|
1. |
必 ず 必 要 |
しみ抜き |
変色している部分に膜状に広がっている「脂分=変色を守るバリアーの役割を持つ油膜」を除去し、その後に行う漂白剤が変色部分に浸透しやすくするため行う処置 |
2. | 漂白 |
薄い黄色・こげ茶に変色した部分=変色部を漂白剤の持つ力で化学反応により変色を消す処置 |
|
3. | 希望次第 |
部分染め 染色補正 |
「2.漂白」で脱色・色ハゲ発生時、同じ色目の染料を作り脱色部分へ塗り、脱色を目立たせないようにする処置 |
この「1. しみ抜き」と続く「2. 漂白」は必ずセットで行います。
当店ではこの作業を「しみ抜き漂白」や「しみ抜き+漂白」と表現しています。
「1. しみ抜き」の目的・役割はとても重要な場合があり、省く場合もありますが多くの処置で行う作業です。
表にあるようにざっくり油のバリアーをこわす役割で、ざっと説明するなら食器の洗い物がわかりやすいと思います。
油ギットギトの食事で固まった油分や焼けて固まった残骸・・・。
これらを洗剤無しで洗いますか? ←当然そんな訳はありません。必ず洗剤を使用していると思います。
極端な案内ですがお皿を触ってキュキュッ!とキレイになった状態、これは洗剤によって油がバラバラにされたため、水で洗い流せるようになったという化学反応です。
お皿にガッチリしがみついた油分を洗剤で破壊し、破壊してバラバラになった油を水ですすぐ ───
ここで言う「しみ抜き漂白」はその現象を起こす処置で、しみ抜きはお皿を洗う時の洗剤の役割を果たします。
通常変色は①しみ抜き+②漂白の2つの作業で消します。この2つは必ずセットで行います。
ただあまりにも広範囲に広がった黄ばみ・茶色の変色を手作業でしみ抜き&漂白&しみ抜き&漂白&し・・・
この方法だと費用がガンガンかかってしまいます。
当店は着物専門クリーニング店でこれまでなかった、着物をキレイにする費用を安いです!とひとつのお店のウリにしているお店です。
安さを実現するためさまざまな着物にまつわる情報をいただき、可能なものにはこの「1. しみ抜き」を省く場合があります。
しみ抜きを省いて漂白だけでも黄色みが消えるものがあるのは確かですが、あくまでケースバイケースで「省ける場合がある可能性がある」程度です。
着物専門クリーニング、商売としてお引き受けするにはやはり多くの変色に対してしみ抜きが必須とのご案内となっている事をご理解いただければと思います。
目をおおいたくなるような着物全体に広がった変色汚れを「ナントカキレイに!」とお考えの際、「当然費用をもっとも重視するわよ!」という場合、詳しくはお問い合わせいただければと思います。
「2. 漂白」は薄い黄色~赤みがかった茶色~青みまで加わったこげ茶色の変色を消す作用を起こす事のできる、唯一の溶剤で唯一の処置です。
いわば変色を消して=マイナスの処置=元の状態にする、という手法ではなく、変色の上に柄を描いて=プラスの処置=変色があった事をなかった事にしてしまう柄足しという手法もあります。長くなるのでここでは割愛します。
特定部分の変色をキレイにもどす際は漂白します。
仮に1ヶ所の変色に対し、この作業が1回で済む=小さな変色・初期の変色で軽く黄色みを帯びているような場合は割安に処置できます。
逆に変色の中でも数十年単位で進行した末期のこげ茶色変色や1ヶ所の変色部分自体
の大きさが大きければ大きいほど回数を重ねた処置が必要で、やればやるだけ割高になります。
「3. 染色補正」は「2. 漂白」で脱色が起きた場合の補正措置です。
ほかに長期間の保管時に陽の当たる場所に置いてしまった!場合の色あせ・退色時の補正にも用いる技術で、着物を専門にクリーニングするお店ではおそらくどの店でもサービスとして提供していると思われます。
脱色が起きれば必要になるケースがある、というものですが、もしお見積りの中に提示されていれば予算としてあらかじめキチンと用意すべきものだと思います。
脱色したまんまと染色補正を行った場合を比べると ───
明らかに染色補正は意味のある作業となります。
変色したままの状態と漂白で脱色した状態を比べると ───
どちらがより悪い状態なのか、ジャッジするのがむずかしい場合があります。
脱色したままの状態よりも染色補正で脱色が目立たなくなる方が誰の目に見ても違和感がない仕上がりになる、そんな場合に染色補正は必要となります。
ただ、お客さまの中にはお試し・・・チャレンジのつもりで「もし、万が一キレイになったらウレしいけど、仮に脱色したらそれ以上お金をかけずにスルーしたい」とお考えの着物で、ご依頼をいただく場合もあります。
そんな場合はあらかじめそのお気持ちをお知らせいただく事で作業を中断したりお見積りの段階で柄足しに導いたりできますのでお伝えいただくのがベストです。
またほんの少しの脱色で、お金をかけてまで染色補正する意味があるのか?と感じる場合もあり、そのような場合はお客さまの判断でそのまま納品する事も選択できます。
いずれにしろ当店はお客さまの代わりに、お客さまのご要望を、お客さまの予算内でキッチリ収める事を最重視している着物専門クリーニング店です。
どのようなご要望でも正直にお知らせいただければ、できる事はできる事として、できない事はできませんとお知らせいたします。
その意味でご相談はお気軽に、とオススメしている次第です。
お見積りの内容に不安があったり意味がわかりにくい部分があるのは当店のご案内に問題があります。
わからない事はまったく恥ずかしい事ではありませんので、ご不明な点がございましたらその旨お知らせいただければと思います。
当店での染色補正の定義は「脱色部分が目立たない程度にする品質提供」です。
ちゃんとした確認は行っておりませんしたくさんある同業他社様のすべての提供品質を知る術がないので「感じている」程度の事になりますが、当店の染色補正の品質は平均するとおおむね「中くらいの品質」だろうと考えています。
要するに「当店は染色補正の免許を持ったベテラン染色師の素晴らしい品質を提供しているお店です」といったお店ではない、という事を正直にお知らせしている次第です。
中くらい、という表現はとてもあいまいで申し訳ないと感じています。
ここまで読みすすめられて「仮に脱色した場合、きもの医ではなく他店に出そう」とお考えの方がいらっしゃるかもしれません。
もしそのようにお感じなら、私達の立場で言える事は変色をキレイにする処置からすべて信頼できると感じられた同業他社様に依頼すべきだと強くオススメいたします。
情報が何もなくあてずっぽうで言うような内容ですが、染色補正を高い品質で提供できるお店はそもそも脱色させない技術を持っているのかもしれないのです。
私どものこれまでの調査では脱色をコントロールする事ができない、との結果が続き打ちのめされてきました。
いまはどうかわかりませんが、20年くらい前は「脱色しそうになったら作業を中断して変色が残ったまま納品」して『これ以上の処置は生地を傷めます。』といった言い訳カードを出すのが普通だった時代があります。
このような場合は変色はほとんどそのままの状態で戻ってきていたと、調べれば調べるほど黒い調査結果が山のように積み上がったのを覚えています。
当店ではとにかく安く変色を無くすために脱色を恐れませんし染色補正も行っていますが、当店が提供するサービスとしては、脱色の補正や変色の復元処置は、着物によってはそもそも柄足しで処置するのがベスト、と判断する場合も数多くあります。
むずかしくお考えにならずシンプルに安く変色がなくなる事でご満足いただけるのなら、しみ抜き漂白を最小限に抑えてその多くの処置を柄足しで処置する方向が幸せになる、満足度の高い依頼になるのかもしれません。
一口に脱色する、と言っても幅はあります。
非常にあいまいな案内にはなるのですが、このうち少し見つめて「あれ?」と感じるものや元に比べ赤、青っぽくなった脱色は比較的安く処置でき、また結果も良好な場合が多いです。
問題はガシッと白っぽく脱色する現象です。
これを違和感なく処置するのは後述しますが非常に骨が折れる作業になり、結果も良好だとは言えない場合が考えられます。
このような現象があらかじめ予想される場合は柄足しを中心としたお見積内容となっている事がほとんどです。
当店からのお見積りが「柄足しをおしているな」とお感じの際は、費用面からも提供品質面からも柄足しがオススメです。
そうご理解いただければ結果として品質も費用もご満足いただきやすいと考えています。
当店の染色補正はその目的を「脱色部分が目立たないようにする」事に重きを置き、カンペキを目指していません。
当店では当店のお客さまを通じて費用を負担して「染色補正ならおまかせを!」とうたうお店に染色補正の依頼を出し、その結果を調査した経験からひとつの結論を導き出しました。
染色補正は処置後確認すれば確認するほど、カンペキな技術ではないと思い知らされる、と。
20や30の覆面調査ではなく10件弱の調査結果ですので、認識が間違っている可能性はあります。
ただ部分的な脱色の染色補正の品質は中には目をおおいたくなるような結果で納品された経験から、完全ではないと判断しています。
私どもの考える「カンペキな品質」は=普通の方がちょっと見てスルーできる品質、気づかない程度の品質です。
着物は衣服なので、この品質で十分だ、という見解です。
その意味から言えば覆面テストの結果で「どう考えてもアウト」なものは数点でしたが、そのお店がうたっていたホームページの内容から「おそらく日本でも指折りの技術力なのだろう」と期待していたのでショックが大きく、実際にその品質はよろしくないものでした。
そこで当店では青天井とも感じるカンペキを求めた染色補正ではなく、どなたでも清水の舞台・・・からではなく階段の3段目くらいから飛び降りるくらいの覚悟で利用できるよう、コストパフォーマンスに重きを置いています。
なかなか説明がむずかしい課題です。
変色処理に行う漂白作業は確かに染料をこわす副作用を持っています。だってそのはずです。そもそも染料を生地からはがすための薬剤なのですから。
ですが ───
冒頭でも触れた通り、日々の処置を経験して痛感するのは着物の年齢問題です。
脱色する=染料がこわれやすくなった状態は、いわば着物の老化現象の中でも非常に目につくもので、現代の科学力では防ぐ方法はあまりありません。
「あまり」と書きましたが、着物専門クリーニング店によっては布団の圧縮袋の要領で空気を抜いた環境にし、なにかしらのガスを充填する事で長期保存をサービス化しているお店もあるようです。
興味がある方は一度検索してお探しになるのが良いかもしれません。
そのような措置を致さない着物については日々タンスの中で年齢を重ね続けます。
この老化による染料堅牢度「=ざっくり染色の耐用度」の低下は変色のしみ抜き漂白時にはとても脅威になっています。
実際脱色を起こすかどうかは処置してみないとわからず、事前に予想がつきません。
確かにご相談の段階で着物の情報を伺っている時に「これはおそらく脱色するだろうなぁ」と感じる着物はあり、ご注文後、事前テストで「やっぱり!」と予想が的中する着物もありますが、必ずしもわかる訳ではないのです。
皆さまの立場で考えれば「キレイに、そして安く」をお求めの事でしょう。
着物の丸洗いクリーニング料金が安い、というお店ではなく(比較すれば安いのですが・・・(^^; )着物の汚れを安くキレイにするお店として当店へご依頼・お見積りされるのですから、それは当然です。
そこでこの脱色の危険をもしお伝えせずに注文を受け、最悪な事に脱色してしまったらこんな連絡が届きます。
「安全に処理できるよう万全を期しましたが漂白で脱色したので追加で○千円、○万円かかるんですよー」
殺意がめばえると思います。(笑)
そこで当店を含めた着物専門クリーニング店では、ご依頼を受け見積りを作る段階で脱色した場合に備え、脱色が目立たないよう補正する染色補正まで含めたお見積りをお届けしています。
染色補正の多くはしみ抜き漂白費用と同程度か若干割高になる費用になります。
皆さまにすれば変色をキレイにしてくれる料金を2回分払わせるつもりか!?とのご疑念のお気持ちがフツフツとわいてくるかもしれません ───。
ところが着物専門クリーニング店としては現象として起こる可能性が高い脱色問題を告知せず注文をいただく訳にはいかないのです。
染色補正の料金見積りは「もしかしたら起こるかも。そうしたら用意しなければならない費用」とは考えず ───
「染色補正の費用まで含めてそれでも『キレイにしたいかどうか』、これを注文するかしないかのポイント」として検討いただければと思います。
その考えだと仮に染色補正が必要ない程度の脱色で済んだ時やまったく脱色が起きなかった時に「超ラッキーッ!」と、支払う予定で用意していた染色補正料金分をまるまる別の事につかえるお小遣いにできます。
染色補正のお見積りについてはこれらの理由により変色処理にはついてまわりますので、皆さまにおかれましてはなにとぞ事前にご了承くださいますよう願うばかりです。
着物のクリーニングやお手入れ、トラブル時はいつでもお気軽にご相談くださいませ。
相談してよかった!と思っていただけるよう、できるだけご要望にお答えいたします。
もちろん、お安く。
きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございました。
m(_ _)m
◆当店は《着物を安い料金でキレイにしみ抜きしたりクリーニングしたりお仕立て・お直しする事がポリシーの店》で大阪はもちろん全国を対象としたネットショップです。
安さ実現のため様々な工夫を取り入れたため「利用する際わかりにくい」とお叱りを受ける事もありまず。そのひとつが「直接店まで行き目の前で着物を見ながら相談できない店」です。
「お店まで持って行きたい」とのご要望はよくいただきますがどなた様に限らずお断りしております。理由は今の安価な料金帯を維持するためです。接客係を置かない店なのです。人件費削減で安価を実現しているのです。
この件のご相談は「できない事がわかっている上でのご相談で、私どもにとっては営業妨害と等しいものです。この点ご理解いただければ幸いです。
当店をご利用いただくには宅配便等でのやりとりか、大阪/東大阪市内とその周辺地域向けの訪問集配サービスのみとなります。
お問い合わせいただきましても同じご案内となります。なにとぞ「持ち込みに関するご相談」なくご利用いただきますようお願いいたします。
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