洗い張りとは

洗い張りは着物専用のクリーニング名で、ざっくり下記の2つの考え方があります。

洗い張りのみ
反物に戻し水洗い

 「洗い張り」は下記1~3の通り着物を一旦バラして反物にし、水で洗って仕上げるだけのクリーニング名です。

洗い張りお仕立て直しセット
反物に戻し水洗いお仕立て直し

 「洗い張りお仕立て直しセット」は下記4が加わった、ある意味着物の完全クリーニングパッケージです。

重要:お仕立て直しアリナシ

このように洗い張りと言っても、「洗い張り」と「洗い張り+お仕立て直し」では全く異なる内容です。

洗い張りをご利用の際には当店を含め「仕立て直しを含めた洗い張りの相談」と一言そえるとお話がスムーズに進めやすいので、ぜひご活用下さいませ。

洗い張りだけorお仕立て直し付き
比較表

工程 洗い張り 洗い張り+
仕立て直し
する事

1)前準備
解き端縫いトキ ハヌイ

着物を反物
にする

洗い張りするための最初の作業で、必ず必要な処置です。着物をバラバラにほどいて元の反物の形に仮縫いします

2)洗い
たわし水洗い

ゴシゴシ
水洗い

仮縫いして反物の形になった着物を専用たわしなどで本当にガシガシゴシゴシ、強力に水洗いします。

3A)張り
伸子張りしんしばり

巾を復元し
仕上げ

伸子しんしまたはしんし 洗い張り専用の両端に張りの付いた細い竹の棒 を一定間隔で張り詰め、のり付けして風合いをできるだけ新品に戻し、乾燥します。新品当時のの幅に戻す処置で伸子張りしんしばり という工程です。

この伸子張りをせず、下記3B)ののしだけで処置を行う品があります。またこの伸子張りをせず3B)湯のしだけで仕上げる店もあります。

3B張り
のし

巾を復元し
仕上げ

上記★3A)伸子張りではなく、洗い上がった仮縫い反物を専用の機械で新品当時の幅に戻します。これは湯のしという工程です。
「伸子張り、湯のし」は生地の種類などで使い分けます。現代では洗い張りの「張り」工程を湯のしだけで仕上げる店もあります。


洗い張りは上記1~3までの工程で完了します。

4)和裁
お仕立て直し
追加注文品のみ


仕立て
直し
追加注文
可能

着物の形に
仕立て直す

洗い張りと同時にお仕立て直しまでご注文なさった場合に限り、上記1~3の工程が完了した反物を再び着物の形に縫い上げます

同時に全ての寸法を希望寸法に直す事ももちろん可能です

工程 洗い張り 洗い張り+
仕立て直し
する事

料金表では1.2円なのに
支払いはになるナゾ

表示料金よりも高額になる理由

結論から言えば、本来なら洗い張り料金として総額表記すべきの「お仕立て直し代」を別注文としているため起こる誤解です。 これは「とりあえず洗い張りだけして、仕立て直しは着る人・時が決まってからにしよう」と、洗い張りだけの利用ニーズがあるため仕方がないところと言えるかもしれません。


さて、ここまでご案内のいわゆる「洗い張り」の4工程 ①ほどいて反物に戻し ②水でガシガシ洗い ③手間をかけた仕上げをし ④お仕立て直し が、数千円~1.2万円程度で注文できるでしょうか?

・・・答えはNOです。

洗い張りを取り扱う多くの呉服店・着物クリーニング店・悉皆屋しっかいやでは洗い張り料金を「①解き端縫いトキ ハヌイ+②水洗い+③仕上げ」パッケージとしてご案内しています。

つまり洗い張りの最も重要な最後の工程である「④お仕立て直し」を洗い張り料金に含めず、お仕立て直しを別料金として案内しているから起こる大きな誤解なのです。 着物のお仕立て代・お仕立て直し代は最も安価にできる小紋の裏地のないタイプ・単着物ひとえ小紋着物で手縫い限定なら2~4万円が中心価格です。洗い張り自体が仮に1万円でもお仕立代を含めると1万円では収まらないのは当然と言えます。

洗い張り後に着用をお考えの方へ向けての「いったい料金は総額でいくらになるのか?」をわかりやすく表示しているお店は残念ですがとても少ないのが現状です。これも誤解を生む原因の一つと考えられます。

当店ではこうした混乱が無いよう、洗い張りプラン・きもの医の格安洗い張りお仕立て直し・税送料コミコミプランともに全てご返送送料込み・消費税込みのコミコミプランとしてできるだけわかりやすくご案内いたします。

洗い張りは日本の伝統工法
安全に水洗いできる昔ながらの技術です

すたれつつある洗い張り・・・

当店の独自調査では着物クリーニングに出される着物のうち、200~300点中の1点、そのくらいの割合でしか洗い張りは利用されていません。

着物クリーニング全体から見れば 0.5%にも満たない程度のクリーニング方法で、ハッキリと超マイナーなクリーニング法になってしまっています。

結果的に高額な着物クリーニングお手入れ法なので、お店にクリーニングの相談をした際に「どう考えても洗い張りするしかありません」、と判断された時以外はあまり進んで利用されなくなっているようです。

事前に洗い張りを勉強する必要はほとんどありません。洗い張りという工法自体は絹の着物類にとっては非常に優れた最高性能を持つクリーニングお手入れ技法です。

仕方がない事ではあるものの高額である!、これだけが洗い張りを着物ファンの皆様から遠ざけている理由だと感じます。

・・・ですが最高の洗浄力を持つのは確かです。

「娘・息子に残したい」「お孫さん・玄孫さんに残したい」など、大切な着物のお手入れ法のひとつとしてご記憶いただければ幸いです。

洗い張りってやっぱり
着物には最適なの?

洗い張りは過剰なスペック

当店の格安着物みず洗いコースも洗い張りも、普段着系のお着物や一般的な正絹しょうけん着物にとってはオーバースペックな、ある意味「やりすぎ」なクリーニング方法です。

お家のお掃除で例えてみましょう。

日本で一番、との評価を得るお掃除プロの大人気担当者がいらっしゃいます。その方を指名して年に数回お家を掃除してもらえれば、超快適で気分も新たに日々楽しく過ごせるでしょう。

 ───でも・・・でもでも、果たしてそんな超有能なお掃除のプロを頼まないと我慢出来ないくらいケッペキ症の方は、そうそういらっしゃらないというか・・・

ご自身で振り返ってみてください。

日々のお掃除・・・。忙しい時は数日掃除できない事があるのは普通だと思います。

数時間の掃除で数万円を払ってでも「その品質が欲しいんやっ!」という方にはうってつけのお掃除サービスも、ごくごく一般的な普通のご家庭でどれほどの必要性があるでしょう?

・・・洗い張り(+再仕立て)というクリーニング工法は、この種の「超」こだわりのある方向けのサービスです。ざっと考えても深く考えても・・・洗い張りでないとダメ!という方は本当に少ないと考えられます。

水で洗わなければならないほど汚れた着物の多くは夏に着る裏地のないタイプの着物で、非常に寒い時期に着る着物にはほとんど必要ないように感じます。(ニオイが気になれば別ですが)

ご所有の洋服を思い返してみるとよくわかるのではないでしょうか。

水で洗いたいのは下着や直接肌に触れる状態で着る服がほとんどでは?

一般的なクリーニング店に絹のブラウス・ジャケットをクリーニングに出した時、說明無く引き受けられる場合はおおむねドライクリーニングされて納品されます。

ところが、見た目が改善していればみず洗いしようがドライクリーニングしようが気にならない ───

そんな事が多いように感じます。

もちろん水で洗う方が次回着用時に気持ちよく着れるのは間違いありませんが、水で洗うと少し縮んだり若干型くずれして納品されます。

洋服は曲線で作られている事が多く、立体的な作りなので少々の縮みや型くずれは気づかない事が多いものです。

ところが着物は直線で作られており、着用時も立体的・・・というより平面的です。

当店の着物みず洗いコースがキチンとリスクをご理解いただかないと利用できないシステムになっているのはこれが原因です。

洗い張りはどうかといえば、ハッキリ言って高すぎます。

800円でできるなら最高だと思います。

・・・3千円でも最高です。1万円でも2万円でも最高と言えるでしょう。

着物をほどいてバラバラにするのに数時間、それを伸ばして反物に縫い合わせるのにも時間がかかり、その上専門の職人さんがガンガンみず洗いしてのり付けして、その上みず洗いで縮んだ寸法を元通りにしてくれて、さらにさらにもう一回着物の形に縫い合わせて納品してくれるのですから。

作業工程を考えれば2万円でも本当に安いものです。

ところが、現実にはその倍~4倍程度の費用がかかります。

これでは多くの方がいつも注文できるメインのクリーニング方法とは言えません。

高すぎるのです。

もちろんそれだけの値打ちはあれど、皆が皆高級化粧品を利用できないように、皆が皆気軽に利用できるクリーニング方法とは言えないのが玉にキズです。

当店独自の着物みず洗いも洗い張りも ───

巷にあふれる皆さまがご所有のお着物の内、そのほとんどには不要なお手入れ・クリーニング法であると理解して差しつかえありません。

ただ「古くクッタリ感のあるグダグダな着物でクサいニオいを放つ着物を新品に近い品質に戻したい!」というご要望時には洗い張り以上にピッタリのクリーニング方法はありません。

ただ・・・費用を考えれば数十パーセント安く仕上がる当店独自開発の格安着物みず洗いクリーニングABC各コースがとってもお得です。

洗い張りを100点とすれば、当店のみず洗いは洗浄品質で95点以上、アイロン品質で95点以上、費用は120点~130点はいただけると自負しています。

最大の費用をかけて完全なみず洗い品質をお求めなら洗い張りを、

モアベターな品質でコストパフォーマンスに優れたみず洗いをお求めなら着物みず洗いをご用命になれば、最高の結果をお届けいたします。

洗い張りが必要な着物

新品に近い品質にしたい!
長期保管に備えたい!

着物に不慣れな初心者の
方が洗い張りをご検討になる
のはこの2つ!

他に大きな理由はありません

 

着物水洗いするのは洗濯のイメージと直結するので意味を理解できるものの、洗い張り

は正直說明が難しい着物クリーニングの中でもご案内が最高難度にむずかしいクリーニングです。

確かに「水で洗ってスッキリキレイにしてくれる処理」、という部分はざっくり言って正しいです。正絹でできた着物に限らず、肌に触れる衣類を洗う方法としてみず洗いは非常に理にかなった、そでを通した時にとても気持ちいいと感じられるクリーニング方法です。

でも・・・

着物クリーニング店・悉皆店・で洗い張りをすすめられるのは・・・

  • 水で洗うのでまる洗い(ドライクリーニング・ベース)とは次元の違う仕上がりが実感できます
  • 高級着物には最適なクリーニング方法で、孫子の代までキレイな状態を!

おおむねこのような理由からだと思います。

上品なおももちでご相談時に「大切な着物だから」「子供が成長した時に着れるように」「作家さんの一点物で替えがきかない」などとお店側に伝えると、高い確率で洗い張りをと案内を受けてしまいます。

皆さまのご要望が「新品に近づく仕上がりを」「長期的な保管にきれいな状態で耐えられるように」、というものなら洗い張り以外の選択肢はありません。(断言)

絶対に後悔はないはずです。

・・・ところがここに盲点があります。

長期間の保管=カビ対策の充実

どんなに丁寧なクリーニングを行っても、保管時の温度・湿度・空気の入れ替えなどのコントロールに気を配らないと結局カビが黄色や茶色の変色を起こさせます。

また、空気による縮み・型くずれにも油断はできません。

洗い張りをご利用になる方は、着物の形に再度仕上げるにしろ反物のまま仕上げるにしろ、日頃の手入れをおこたると高い料金を支払って洗い張りをした意味がなくなってしまいます。

新品に近い品質をお求めだったり長期保管に備えてだったり理由はともあれ、長期間の保管の際には月2回の引き出しの空気の入れ替え、年に2回以上の陰干し虫干し&同時汚れチェックを忘れないようにしましょう。

せっかく洗い張りに出すのですから。

でももし、もしも、の話ですが・・・。

多少の縮みや型くずれが許せる着物だとしたら ───当店が誇る大人気コース・各安着物みず洗いAコースを検討してみませんか?

費用は(モノにもよりますが)10分の1以下、納期も5分の1で、イヤなニオイがなくなり汗のべっとり感・イヤな感じのベトつき感が解消できる、手前ミソではありますが非常にコストパフォーマンスに優れた着物クリーニング方法です。

ぜひ下着に当たる長じゅばんや暑い時期に着る単衣や薄ものでお試しいただき、各安着物みず洗いクリーニングの超品質をご実感いただければなぁ・・・と、日々熱望しているところです。

ご相談はお気軽にどうぞ!

きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございました。
m(_ _)m