正絹着物の変色解決時の
脱色問題とは費用が割高になる事

どの変色解決時にも当てはまる

変色解決時に使う漂白剤は変色を消せる唯一の溶剤で、漂白剤を使わなければ変色の解決はできません。

そしてその漂白剤は元々染色の現場で例えば色が付いてはいけない部分に付着してしまった染料を「はがす=脱色」させるためのものです。

つまり変色を解決しようとすると脱色問題は避けて通れないものなのです。

変色を解決しようとする時、最大のハードルは解決費用です。このページでは変色解決が割高になりがちになる理由をわかりやすくご案内いたします。

変色・アク・黄変とは

「黄色や茶色っぽく見える変色(アク・黄変・黄ばみ)は極端な表現ですが生地が黄色っぽく染まっているのと同じような状態と言え、染まっているとも言えます」。

生地が自ら発色してしまっているので、洗剤で洗っても落ちることはありません。

1日外に出て活動すると肌も汚れます。肌は仮に薄汚れた状態になっても洗剤で洗えば汚れは落ちます。 しかし洗ってキレイになっても肌の色は元の色のままです。

肌の色は肌自体が発色しているため、洗っても変わりません。これと同じです。

当店ではわかりやすく、着物類の変色をこのようにご案内しています。

▼少し詳しく見る▼

通常多くの衣類は着物を含め、生地が青・赤・黄色・緑・紫色などに「染まっている状態」で販売されています。

染める方法は数種類ありますが、いずれも「染める」からその色を発します。黒に染めれば黒色に、緑に染めれば緑色になります。

変色している状態はこの「染まっている」のと同じく、変色を起こす原因物質が一定期間染まりやすい状態に保管されている環境で少しずつ黄色く化学反応を起こし、「染まるのと同じような状態で黄色く発色します」。

原因は老化と空気です。「空気にさらされる環境で老化が進む=変色が進む」のです。

変色直し

変色直しとは、変色を消せる唯一の溶剤・漂白剤 クリーニング資材メーカー様が各社出している溶剤ももとは漂白剤なのです を使用し、黄色っぽく染まった部分を元の状態に戻す処置を指します。

着物の変色解決は主に費用面で「➊しみ抜き→➋変色直し処置➌脱色時には脱色部への部分染め」というひとパッケージで考える必要があす。

繊維の元の染まり具合を維持しながらできるだけ脱色させないようにしつつ、黄色味を脱色させる工程を漂白剤や加熱を適切にコントロールして処置します。

これはつまり、いつでもどの品でも変色直し時は脱色するリスクがあるため、いつでもコントロールしなければならないものです。

変色直し時の脱色

脱色は一概には言えないものの、それでは伝わらないためわかりやすく極端に言うと、処置した「部分」の40~60%で起こります。 漂白剤は水に溶かして用います。水は繊維せんいに触れると少しずつ生地に広がりながらしみこんでいきます。漂白剤の液を吸った部分は全て脱色する可能性がある、という案内です。

「えっ!? そんなに脱色するの?」と、驚くのは当然です。
理解していただくため大げさに伝えているのではなく、本当にこれくらいの率で脱色は起こっています。

・・・ですが脱色すると言っても、程度問題でもあります。

●元々淡い色の部分・白に近い色なら目立ちにくい
●脱色しても目立たない
 これらが脱色した部分の50%以上です。これに当てはまる脱色部分は文字通りあまり目立ちません。

つまりその後に費用をかけて部分染めまでする必要性はかなり低い脱色と言えます。

着物の地色が白、つまり生成りきなりがかった白なら、多少脱色しても全然平気、という方が多いのは確かです。

その意味では地色が白に近い薄い色や、元の変色があった状態に比べればはるかにまし・・・のような状態で変色直しができた場合、お客様の費用節約を考慮し、そのまま納品できる事も実は少なくありません。

脱色時の補正費用

逆にゴソッと「脱色しました!」という脱色の場合、部分染色や柄足しが欠かせません。

この脱色時の補正は染色技術のグループ、柄足しは顔料で柄を描いて下地の汚れ・脱色を隠すなどで、しみ抜きとは切り離した技術です。そのため費用が別立てでかかります。

●部分染めでの補正:変色直し費用と同額~3割増し程度かかります。
●柄足しでの補正:変色直し費用と同額程度かかります。 描く柄によっては費用はかさ増しとなります。詳しくはご相談くださいませ。

先に述べました通り脱色しても程度問題で必ずしも部分染めなどを意識する必要はないと言えます。

ただし・・・普通は費用総額を見て考え、注文するしないや注文するお店を検討・決定されるはず。

その意味では変色の解決時には部分染め費用まで意識した検討がベストな考え方だと信じているところです。

部分染めの品質は

お店により出来・不出来があると当店では考えています。

そういう当店は正直に自己評価すれば、部分染めを「あまり」得意とはしていません。いまだ発展途上と言えます。

技術は経験により精錬され、より良い品質をより短時間で実現できるようになる、一朝一夕いっちょういっせきでは身につかないからです。

バッチリ成功する時もあればかなり目立つ出来にしか出来ない事が可能性としてある、品質にバラつきがあるためです。

細かい内容はおいておき、費用よりも品質を優先される場合は着物専門クリーニング店の中でも
「着物のもとになる反物を自社で制作・販売している、さらにそれらを行う技術者を自社で抱えてるお店」
がベストです。

逆に費用を最優先するなら、当店のような「はじめから費用の多寡たかを口にする」お店もひとつの選択として成り立つと思います。

ご都合に合わせて解決するお店をご選択くださいませ。

変色解決判断時の見極め方

黄色っぽい~茶色っぽい汚れがあるように見える部分があるとします。この場合、ほとんどの場合は変色を疑います。

しかし必ずしも変色だけでその色になっているのでは無く、大半は汚れで少しだけ変色している、というものも中にはあります。

例えば茶色っぽく汚れているように見えるある部分の状態を汚れの濃さ100とします。

実際に処置をすると、見た目のうち20がしみ汚れで80が変色だとすると、しみ抜きして20汚れがなくなっても残りの80の変色が完全に残ってしいます。この場合、変色直しをしないと問題は解決できません。

80の割合で残った変色はパッと見た感じは「汚れは全然落ちていない」ように見えるからです。

逆に80がしみ汚れ成分で、染み抜きしたら残る汚れは20だった場合────────染み抜きで80も汚れが洗い流されていれば、人の目の特性(実はおおざっぱに見ている)で結構キレイになったように見えます。

100の濃さの汚れが80ほどなくなり、残り20しかないと、人の目ではおそらく数秒見続けて、やっと発見できる程度だと思います。しかも人によっては見つけられないかも・・・。

あまり多くはないものの、実際の汚れを解決する現場ではこうした汚れ+変色で構成された部分もあるため、費用見積もり時はある程度の幅をもたせた内容となっております。

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