正絹着物の変色とは

汚れ 染まっている状態

着物を含む繊維せんいにできる変色とはこの通り、汚れではなく染まっている状態に近い現象です。

変色=黄色・茶色に染まっているようなものの原因は色々あります。

”変色を消す方法”は脱色させる=色を抜く方法とほぼ同じやり方で進めます。この処置は普通の家庭生活でよくある「漂白する」という処置です。

繊維から変色した黄色味・茶色味をはがす方法は漂白する以外、ありません。

ここでは深く触れませんが、変色は汚れを落とす処置に加え、漂白する、(脱色部分に)部分染めするなどの処置が組み合わさる事が多いため、染みしみ抜き系処置の中では高額の部類になります。

当店ではこうした変色の解決策をお安くするため、漂白以外の方法="柄足し"を積極的に取り入れ、お見積りで提供しています。

そして変色は老化現象です

人の肌と同じように絹生地も老化する

10代の頃になかった顔のくすみ、しわ、たるみ、そしてしみ ───。

悲しいかな、年齢を重ねるごとに容赦ようしゃなく現れるこれらの症状。防止するにもできたトラブルを解決するにも大変な額の費用がかかります。

絹は動物性タンパク質でできている、と言っても過言でないほどたくさんのタンパク質を含む物質です。人の肌とそっくり、と表するケースもあるくらいです。

老化現象は止められず、くすみ・しわ・たるみ、そしてしみは防げません。

どうしても変色を解決したい場合はクリーニングやその他の解決策に費用を投じる他ありません。

残念ですがこれらは事実ですので、ありのまま受け止めていただければと思います。

変色には空気が絶対必要

着物を保管する場所はほぼ間違いなく箪笥たんすや収納箱などで、空気に触れ続ける環境に置かれ続けます。

変色発生・進行には空気が必須です。

変色の素・変色を起こすトリガーとなるカビの発生にも空気が必要です。

例えば宇宙のように空気がない世界で保管できればカビも生えず変色も進みません。

空気を遮断しゃだんして保管する方法もあるようですが、費用がバカにならないようです。

結論。変色は必ず起こります。そして(ここで詳細は省きますが)解決策はいくつかあります。

変色の原因は製品化前後にある
汚したから変色したのね、だけではない世界

反物製造時~店頭に並ぶまで

衛生管理が行き届いた大手のアパレル工場で織り紡ぎ作られる生地に比べ、着物の変色理由を探してもあまり建設的ではないと感じます。

ただいち着物専門クリーニング店の意見・捉え方を知りたい、という方もいらっしゃるためざっとご案内します。

着物が変色する最大の理由のひとつは製品化前、つまり店頭に並ぶ以前にもある点を知りましょう。

着物は昔ながらの人の手が中心のアナログ手法で作られており、それは現代も続いています。


以下は当店独自の見解です。製造業者様が悪い、という主旨ではなく現実を一般消費者へ伝える目的で説明しています。ご気分を害されたとすれば未熟な文章が原因のはずで、その点お詫びいたします。


まず着物は反物たんものという、着物の生地として専門業者様の手で製造されます。

人の手には皮脂や汗、その他直前に触れた品の汚れ・何かしらの物質が付着しまくっていて、着物を作る工程で元になる反物を汚れがたくさん付着した手で織ったり洗ったり染めたり絵を描いたり、アイロンかけたりし続けられます。

製品化された後は問屋さんやメーカーさんも手で触れ続け、陳列したり仮絵羽かりえば -着物の柄をわかりやすく陳列するためざっと縫い上げた状態- にされたりすると本当にたくさん指で触れた部分ができます。

人の手が触れた部分には皮脂やその他の成分が山のようにつく、これはここまでの説明でおわかりいただけたと思います。

もちろん食べこぼしや汗が付着した部分も変色の直接的な影響になります。変色を避けようとするとクリーニング代がかかり過ぎ、食費や政活費を切り詰めるだけではおそらく足りません。

お仕立て~お召し後

さて、これは変色がなぜ起こるのかを原因から説明しようとする試みです。

呉服店さま・和服店さま・着物屋さま・着付け業者さま・踊りやお茶お華の習い事、そしてお楽しみになる着物。

 ───どれだけの方が手で触れたでしょうか。

反物の状態や長さを確かめるのに何度か広げるでしょう。お仕立て時は和裁士様が縫い目に近い部分に触れ続けます。

仕立て上がってすぐ売れ、そでを通してもらえる着物はごくごく少数です。今の時代、多くの着物は長い年月を経て目が飛び出るような安値で取引されます。

昔は一般的だった嫁入り道具として一通り持たせた親御さんも数限りなく、そうした嫁入り道具は数回程度着用されるかほぼ未使用品としてたくさん出回っています。

あなたはその着物を取り扱う時、除菌洗剤で入念に手を洗いましたか?

普通の感覚の持ち主なら何か意味がない限り、そこまでしないでしょう。
 つまり、人の手による汚れ成分が無数についているのが新品として販売される未使用品として・ほぼ未使用などと表記され売られているのが絹着物なのです。

宿命と言うと大げさかもしれません。

ひとつ言えるのは変色が発現するまで着て楽しみ、変色が出てしまって着るに着れない着物はクリーニングなどで変色を解決して引き続き楽しむか ───

あきらめて手放すかリメイクの材料として活かすか、判断にせまられます。

柄を描く材料に変色の素がある

ここまで読み進めてくださった方に追い打ちをかけるようで申し訳ありません。

ただ「着物の変色とは」として書く以上、この内容も書かねばなりません。 細かい用語や専門語・顔料名などは興味を持たれた方がご自身でお調べいただければと思います。

白いお花が描かれた柄のある着物はよく白いお花の中だけにポツポツと変色が現れます。

これは白い柄を塗る顔料 ネイルに用いるマニキュアタイプの染料。絵の具に近いもの そのものに将来変色する成分がふんだんに混ざっている事から起こる現象です。

つまり、とてもよくある現象です。よくある現象ですので、解決できるお店は当店を含めてそれなりの数あるでしょう。

他に、次の章で案内する「のり」が悪さする事で変色が起こるケースもあります。

ですが皆様、ご安心下さい。無地の着物でも柄物でも訪問着でも留袖でも、解決のしようはあります。

ただ、費用はそこそこかかるのが当店を含め、悩ましいところです。

表地・胴裏どううら八掛はっかけのり

表地の無地の部分に変色が現れたり、裏地の変色が表地に移ってしまう現象も少なくありません。

特に胴裏どううらという名の生地 えり裏・そで全体・背中~お腹辺りの白い裏地 は数十年前頃まで「重い品が高級品として売れる」と、元々ちゃんとした絹で作った生地であるにも関わらずのりをたくさんかけて重くし、利益を多く受け取っていた時代にたくさん販売されていたようで・・・。

今現在ピカピカの新品ですと製造・販売されている胴裏はこうした昔の悪習を反面教師とし、真逆の加工である抗菌・防菌などの加工をして販売されている品が多数派です。

もし大切な着物の胴裏をこれから購入するなら、少なくとも1万円程度の品を選んでおけばまず大丈夫だと思います。

・・・が、変色が始まるのはどんなに保存状況や扱いが悪い場合でも、早くて1年はかかります。

普通なら変色が起こり出すのは5年後10年後20年後のはずですので、仮にこれから購入する品に1年保証があってもあまり意味はありません。

きもの医の変色とは、の結論

なにせ絹は人肌と近い性質なので、ちょっと目を離すだけ、少しの期間保管したまま忘れるだけで、山のようにある原因の結果、変色が起こってしまいます。

安価で入手した着物類に変色があれば、ここまでご案内の理由でできてしまったはずです。これは仕方がありません。

解決するにはたいていの場合、数百円では済みません。だからと言って10万円20万円もかかりません。←きもの医では、です

変色は汚れとは違い汚いかどうかで言えば、当店では「汚いもの」という認識をしておりません。

変色するまでには多くの場合年単位の時間が必要で、例えば今汚した汚れが10年経ってそのまま汚れの状態を保っているかと言えばそうではないからです。

汚れ自体は変質し、そこにカビが発生する際に汚れ成分に関与して変色は起こります。

変色は汚いものではないので、嫌なニオイなどがなく目立たない感じならそのままお召しになっていらっしゃる方は少なくないと思います。

自信たっぷりに着物をお召しになっている方ならおわかりだと思いますが、「汚れを探し出して指摘して恥をかかせてやろう」という人はほぼいません。

汚れはバレなければキレイです、というのが当店の基本ポリシーです。 正確には「私が気にならない汚れは汚れじゃない!」という考えに強く共感する立場です。

変色とはなんぞや?は、ご理解いただけたと思います。

解決を希望される方は当きもの医をぜひ相見積あいみつもりを託す1件としてご活用いただければ幸いです。

当きもの医はざっくり、コスパに優れた着物クリーニングを提供中です。

きもの医のホームページをご覧くださりありがとうございます。
m(_ _)m